「仕事一筋」パパが妻を亡くして直面したこと

「育児は母」前提の社会が父子家庭を苦しめる

「育児は母親がするもの」。この固定観念が、シングルファザーの大きな障害になります(写真: Fast&Slow / PIXTA)
「ひとり親世帯」と聞くと、「母子家庭」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし実際には、シングルファザーが支える「父子家庭」も、直近の2011年調査時点では1988年対比で1.3倍に増え、現在は約22万世帯あると言われています(厚生労働省「母子世帯等調査」)。シングルファザーはいったいどのような悩みを抱え、それを乗り越えているのでしょうか。今回、2人のシングルファザーが取材に応じてくれました。

 

■昭夫さん(仮名・55歳・商社勤務)

老舗の専門商社に勤務する昭夫さん。現在は、取締役営業本部長、開発部長、グループ会社の取締役、海外グループ会社の取締役を兼ね、これまで順調に出世ルートを歩んできました。しかし、仕事ばかりの人生を送ってきたわけではありません。家庭では、2人の子どもを育てるシングルファザーでもあるのです。

昭夫さんがシングルファザーになったきっかけは、妻の病死でした。昭夫さんが地方に単身赴任していた2008年、妻に子宮頸がんが見つかったのです。以来、会社に頼んで勤務地を地元の栃木に変えてもらい、闘病生活に懸命に寄り添いました。しかし、その2年半後に妻は他界。当時、息子は高校1年生、娘は小学校の卒業式を1週間後に控えていました。

「野菜の切り方もわからない」父が妻を亡くして……

妻を失った昭夫さんを待っていたのは、家事、育児、仕事をひたすら繰り返す「猛烈生活」です。それまではワーカホリックで「家事などしたことがなかった」という昭夫さん。最初は料理を作ろうにも、タマネギの切り方すらわからないという状態でした。それでも、育ち盛りの子どもたちには出来合いのお総菜ではなく、なるべく手作りの食事を食べさせたいという一心で、懸命に料理を覚えました。週末の接待ゴルフも最低限に抑え、「子ども優先」の日々が始まったのです。

次ページ出世と家庭、どちらを取るか
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • ブルー・オーシャン教育戦略
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 日本人が知らない古典の読み方
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
集中連載「日立 踊り場の先へ」<br>世界で戦える組織へ

成長を確実にする組織の根幹を成すのが、研究開発と人事である。研究開発体制は2015年4月、各研究所に横串を通し、顧客起点の組織に生まれ変わらせた。人事制度もグローバル化がほぼ完了。踊り場から飛躍へ、日立の地固めの様相を追う。