「育てられ方」と性犯罪は相関関係があるのか

性犯罪加害者の母親は自分を責めるが……

性犯罪加害者の家族はどのような苦悩を抱えるのか(写真:マハロ / PIXTA)
「私の育て方が悪かったんです」――ベテラン女優がそう言って深々と頭を下げる姿は今夏、テレビで何度も何度も放映された。同じく俳優として活動していた息子が強姦致傷の容疑で逮捕され、結果は不起訴処分だったが、彼について語られるとき、その母について言及されないことはなかった。息子より知名度が高いからだとしても、成人男性の性暴力事件について、まるで母にも責任があるような言説に違和感を覚えた人は少なくないだろう。
性犯罪加害者について考えてきたこのシリーズ(第1回痴漢犯罪の実態、「動機が性欲」は少数派だ、第2回痴漢常習犯は医療で治るのか、治らないのか、第3回注意!あなたも盗撮されているかもしれない、第4回性犯罪加害者の妻」が離婚を選択しない理由)の最終回は、性犯罪加害者の親が直面する苦悩と、親子関係と性犯罪の相関関係について考えていきたい。

 

まるで家族にも責任があるように周囲から攻撃される――。これは有名人母子に限った話ではない。ある人物が性犯罪事件を起こすと、家族も渦中の人となる。

日本では加害者本人と家族を別個の人間として見ずに、「犯罪者を生み出した家族」と見る傾向が強いようだ。加害者が既婚者なら妻が、未婚、または事件を機に離婚した場合は両親が、連帯責任を負わされるかのように同一視され、過酷な状況に置かれる。これはどの犯罪にもいえることだが、“性”に関する犯罪となると白眼視の度合いはさらに強まる。

母親は「育て方が悪かった」と自分を責める

「多くの母親は誰に責められずとも、育て方が悪かったと自分を責めます。それだけ日本では、子育ての全責任を母親が負わされているということです」

こう証言するのは、精神保健福祉士・社会福祉士として性犯罪加害者家族に特化した支援プログラムを実践する斉藤章佳氏だ。

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