「相対的貧困」の子が教育困難校に集まる現実 「ひとり親」家庭で世代間の負が再生産される
「教育困難校」という言葉をご存じだろうか。さまざまな背景や問題を抱えた子どもが集まり、教育活動が成立しない高校のことだ。
大学受験は社会の関心を集めるものの、高校受験は、人生にとっての意味の大きさに反して、あまり注目されていない。しかし、この高校受験こそ、実は人生前半の最大の分岐点という意味を持つものである。
高校という学校段階は、子どものもつ学力、家庭環境等の「格差」が改善される場ではなく、加速される場になってしまっているというのが現実だ。本連載では、「教育困難校」の実態について、現場での経験を踏まえ、お伝えしていく。
卒業式に集まる保護者でわかる親子関係
「教育困難校」では、一般的に学校行事への保護者の参加率が低い。過半数の親が学校に来るのは、入学式と卒業式くらいだ。中でも、中退者が抜け、生徒たちが淘汰された後に行うことになる卒業式は、最も出席率が高い。卒業式に集まる保護者を見ていると、「教育困難校」の親子関係がよくわかる。
3年間頑張った子どもが主役の場であるのに、非常に着飾った晴れやかな表情の保護者の一群がいる。PTA役員たちの多くもこのタイプで、ラメ入りやアニマル柄のきらびやかな衣装で招待者席に座っている。一見して保護者の年齢層は若く、中には30代前半と思しき人もいる。話を聞いていると、「自分は卒業できなかったから」「どうなることかと思ったけれど、卒業できて良かった」と心の底から卒業を喜んでいる様子だ。言葉遣いの端々に残る特有の言い回しや、ファッションセンスから判断すると、高校時代はツッパリやヤンキーだった保護者たちのようである。
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