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AIはバブル? 不安をあおったオープンAIの"失言"。「バックストップ」発言で循環取引懸念に火がついた

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(写真:David Paul Morris/Bloomberg)

アメリカ政府がオープンAIの資金調達を支える「バックストップ(安全装置)」となる——。

オープンAIの最高財務責任者(CFO)が政府保証に言及したことを受け、同社の財務への懸念が高まったことから、同社幹部は11月6日、火消しに大わらわとなった。

5日にウォール・ストリート・ジャーナル主催のテクノロジーカンファレンスで政府支援の可能性を持ち出したオープンAIのCFOサラ・フライアに対し、ネット上ではネガティブな反応が広がった。オープンAIはAI開発を支えるコンピューティングインフラの構築へ攻勢を仕掛けており、同社の野心的で高額な計画に必要な資金を集めるために独創的な資金調達手段を模索している、とフライアは述べた。

「私たちが求めているのは、銀行やプライベート・エクイティー(ファンド)、場合によっては政府を含めた(資金調達の)エコシステムであり、そこには政府が責任を引き受けるものも含まれる」とフライアはカリフォルニア州ナパで行われたカンファレンスで語り、そうした政府の関与は「バックストップ、つまり資金調達を可能とするための保証」になるだろうと続けた。

バブル懸念の背後に「いびつな取引構造」

フライアの発言は、業界全体のAI投資熱が持続可能かどうかをめぐる不安に火をつけるものとなった。オープンAI、メタ、グーグル、マイクロソフトといったAI企業は、技術開発を支えるデータセンターや関連インフラの構築に巨額の資金を注ぎ込んでおり、資金面で一段と独創的な取引に頼る企業も出てきている。

こうした取引の多くは「循環取引」になっているという批判もある。半導体メーカーやデータセンタープロバイダー、AI開発企業が確実に投資を回収できる見込みもなく現金や株式を互いに行き来させて、取引の規模を膨らませているという指摘だ。

さらに、AI製品がインフラ投資ブームのコストを正当化できるだけの収益を生み出せるかどうかも依然として不明であり、そうした不透明さが「これは危険なバブルではないのか」という懸念につながっている。

5日夜、フライアはリンクトインの投稿で、「バックストップ」という言葉を使ったことで「要点がぼけてしまった」と述べた。

「私が言いたかったのは、アメリカの技術的優位性はリアルな産業基盤の構築から生まれるものであり、そのためには民間セクターと政府がそれぞれ役割を果たす必要があるということだ」とフライアは投稿に記した。

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