エヌビディアも手がける「フィジカルAI」の現在地。工場・家庭向け人型ロボット、実現間近の自動運転

![週刊東洋経済 2025年5/10・5/17合併号(半導体 異変)[雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/518pMrSuSiL._SL500_.jpg)
「フィジカルAIが次のフロンティア」──ここ最近米エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが繰り返し言及するキーワードが「フィジカルAI」だ。
文章や画像を作る生成AIが進化を続け、自律的にタスクをこなすAIエージェントが広がりつつある。その先の巨大な市場として注目を集めているのが、フィジカルAIだ。
現在のAIの主戦場はデジタル空間だが、フィジカルAIは私たち人間が生きる物理空間で身体性を持って実際に行動する。
代表例がロボットや自動運転だ。重力、慣性、摩擦といった現実世界の物理法則を理解し、カメラや触覚センサーなどで周囲の環境を認識。どのように行動すべきかAIが判断し、モーターなどのアクチュエーターを駆使して自律的に移動や作業を行う。
人型ロボットが続々登場
例えばAI搭載ロボットによる現場作業や高齢者支援、自動運転による事故削減や物流自動化など、深刻化する労働力不足や高齢化社会、交通問題への解決策として期待されている。
ロボット分野の中でも近年各社がしのぎを削っているのが、人型ロボットだ。人間と同じ空間や道具をそのまま利用でき、汎用性の高さが魅力とされている。ゴールドマン・サックスによると人型ロボットの市場は2035年までに380億ドル(約5.5兆円)に達する可能性がある。
人型ロボット「Optimus」を手がける米テスラのイーロン・マスク氏は、40年には100億台以上の人型ロボットが普及し、人間の数を上回ると見込む。将来的には自動車産業を超える数兆ドル(数百兆円)規模の巨大な市場になるという見方もある。チャットGPTがAIにおける転換点となったように、「人型ロボットにもチャットGPTモーメントが迫っている」と、エヌビディアのフアン氏は語っている。
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