40代で育児を始めた人を襲う「不幸感」の実際 20代での育児と「親ペナルティ」はどう違う?
子育てにまつわる話は、ネットで炎上する話題の鉄板ですが、最近でも「親ペナルティ」という言葉がプチ炎上ぎみです。気になって出火元を探してみたところ、プレジデントオンラインで9月5日に配信された、フリーライター河崎環さんの記事の「"親ペナルティ"を40歳で負う覚悟はあるか」という記事のようです。
40代の子育てにおける「親ペナルティ」
河崎さんによれば「親ペナルティ」とはこういうことだ。社会学に、「親ペナルティ」という言葉があります。子どもを持つ夫婦と子どもを持たない夫婦がそれぞれに感じる幸福度のギャップのことで、一般的に幸福度は「子どもを持つことによって下がる」といわれる、とのことです。
記事の中では、40代で妊娠・出産する夫婦が増えている中で、経済的にも精神的にも余裕がある彼らの子育ては、葛藤の多い20代のそれより容易で幸せだろうか、という筆者の問題提起がなされています。
最近ではもっぱら「40代イクメンFP(ファイナンシャルプランナー)」を標榜している私にとって、ぜひコメントしてみたいところです。私も、40歳と42歳のときに子どもを持ちました。以来、保育園登園担当を95%、皿洗い担当を95%、一緒に夕食を食べる率は95%、風呂入れ担当95%(妻と私がそれぞれ別の子を風呂入れする)の高い割合で家事育児をシェアしてきました。実際問題、40代で親になって幸福度は下がっているのでしょうか。
幸福度をはかる指標は複数ありますが、今回はFPとしてマネープランの観点から考えていきたいと思います。
40代の親ペナルティを考える前に、子育てに伴う経済的な損得について知っておく必要があります。まず、「得」のほうですが、子育て世帯には一定の所得再分配が行われます。保育料や、その他教育費用の多くには、税金が投入されているからです。国の平成25年度予算によれば、公立保育所の総経費6800億円のうち保護者負担が3200億円となっており、同額以上が公的負担です(実際には子育て世帯の所得状況によって負担額が異なる)。
その後も、小学校から社会人になるまで、子ども1人当たり年90万円程度は税支援がされています(国税庁の資料によれば、平成21年度の実績で生徒1人当たり小学校84.8万円、中学校97.9万円、高校91.3万円の補助)。
これ以外でも、乳幼児、義務教育を受けている子の医療負担については無料となっています(地方自治体によっては高校の卒業まで無料ということがある。また、年収制限を設けることもある)。大人と比べて病気になりがちな時期の医療費負担は医療保険制度等の社会保障に支えられていることになります。
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