40代で育児を始めた人を襲う「不幸感」の実際 20代での育児と「親ペナルティ」はどう違う?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

一方、大変なのは、子育て資金の準備と自分の老後資金準備を同時並行することです。下の子の大学卒業時、私は65歳になっているため、学費の確保を教育ローンに頼ることはできません。また、子どもが大学を卒業してから自分の老後の貯金をスタートさせるにはあまりにも遅すぎます。

経済的な話に限らなければ、もちろん仕事と子育ての両立はキツいですし、体力的にも楽ではありません(毎食後、床にはいつくばって汚れを拭き、テーブルにつかまってよっこらしょと立ち上がるのは腰と膝に来る)、これは不幸といえるかはその人のとらえ方次第です。

以上、「得られた幸福」と「失った幸福」とをてんびんにかけてみると、バランスが取れているし、強いて言えばプラスかなと思っているのが40代親の私の率直な感覚です(子どもが欲しくて不妊治療に苦労した経験があることも影響し、大きくプラス評価しているかもしれません)。

結婚から出産までいくら貯められるかがキモ

また、金銭的な「親ペナルティ」は、それを軽減するためのいくつかのヒントがありそうです。

ひとつは30代のうちにできるだけ貯蓄や資産形成を行っておくということでしょう。結婚して子どもが誕生するまでが、人生の数少ない貯めどきです。

ここでの資産形成は、子育てがスタートしたときの年収減(育休や復職後の時短勤務の時期に妻の年収が大きく下がる)への備えにもなりますし、子どもが生まれてから慌てて子の学費等を貯める苦しさを軽減させます。その分、レジャー資金等も捻出する余裕が出るはずです。

「親ペナルティ」を感じるかどうかは精神的な側面もあります。メンタルマネジメント的には(あまりこういう言葉は好きじゃないのですが)、「いいこと探し」をしたほうがいい、と強く思います。

「子どもが生まれる前は伊勢丹で服を買っていたが、今はベルメゾンかユニクロなのが悲しい」という発想がいかにもつまらない。お金をかけて豊かさを感じるのは当たり前で、むしろお金をかけずに豊かさを感じる工夫をするのが消費の醍醐味ではないでしょうか。ファミレスはまずくてみじめだ、と思うのか「いやー、今のファミレスってすごいね!」とメニューを見ながら楽しめるかで、同じ服や食事でも満足度は変わってきます。

もちろん、子どもがいるライフスタイルを苦労ばかりだと考えるのではなく、面白がる思考法も欠かせません。コントロールできない存在が日々成長していくことのすばらしさを素直に楽しめれば、子どもの繰り返す失敗もまた喜びになるはずです(といっても無理して仏になる必要はなく、毎日怒ればいいわけです)。

40代で子育てをスタートした親が感じる「親ペナルティ」が、生活が大きく変わることによる落差によって感じる不幸感だとしたら、それを乗り越えるのもまた自分たちのちょっとした頑張りと視点の切り替えなのかもしれません。

山崎 俊輔 フィナンシャル・ウィズダム 代表 ファイナンシャルプランナー

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまさき・しゅんすけ / Syunsuke Yamasaki

1972年生まれ。中央大学法学部卒業。企業年金研究所やFP総研を経て2001年独立。全国紙などで連載。著書に『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事