現政権がNEATの廃止を固めたのは、6月に発生したシステムダウンがいちばんの影響とされています。NEATは、韓国政府の発表によると 39億円の予算が使われていると伝えられていますが、そのほかの人件費や広告費などを含めると、予算は100億円に上るとも言われています。そのため、2・3級の試験は廃止するとはいえ、1級試験に関しては、その活用方法がもう一度検討されるだろうとも言われています。しかし、税金の無駄遣いに関しては非難を逃れることはもうできないという指摘もあります。
朴槿恵大統領に代わり、同じセヌリ党でありながら、李明博前大統領とは政策が180度変わってしまいました。もはや 2・3級に関しては、現状では廃止が決定的とされているようです。実際に 2・3級試験の申し込みを受け付けていたホームページは、2013年12月時点で閉鎖状態となっています。1 級に関しても修学能力試験の代替にはなれず、現在活用している企業や大学もほとんどない状態となっています。
韓国でも、NEAT の趣旨自体に文句をつける人は多くはないようです。しかし、実現可能ではないという指摘が多く寄せられているそうです。予算の確保はもちろんのこと、その予算自体がきちんと使われていなかったと非難されています。今回の頓挫は、急いで強引に進めすぎたことが一因だと推察されます。
失敗からの教訓を学び取れ!
正直言って、あそこまで気合いを入れてやっていたものが、こんなに簡単に頓挫してしまうというのには驚きます。しかし、この韓国のドタバタ劇は、日本の英語教育改革にとっても大きな教訓を与えてくれたと思います。
日本では、学習指導要領の改善など、テスト改革以外の改革は、やれることをほとんどやってきたと思います。最後に残った、テスト改革という砦を攻略するには、そうとうに周到なプランが必要となるでしょう。とりわけ、システムの完備、テストが導入された場合の現場への支援など、課題は多いと思います。しかし、これはテスト制度を今のまま放置すればよいとか、急がなくてもよいということを意味しているわけではありません。
日本の高校生の平均的英語力は、3技能(リーディング・リスニング・ライティング)を測るG-TEC for Students(2011年受験者49.5万人)という試験において、国際的英語力の指標であるCEFRという目盛りで、6段階の下から2番目であるA2の下のほうに位置しています(ベネッセ調べ)。日本人の学生がいちばん苦手とされる、スピーキングを含まない試験でもこのような状況です。
韓国でうまくいかなかったからといって、日本での偏った入試やその対策ビジネスをこのまま放置する言い訳にはできません。むしろ、日本が英語テストの運営や対策のあるべき姿を提案し、アジアの国々に対して、模範を示す努力をしなければならないのではないでしょうか? 日韓の関係者の皆さんの、今後の建設的な動きに期待したいと思います。
(執筆協力:パク・ホンギュウ)
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