ムーギー:なるほど、それではサウジアラビア経済の問題点は何か?
スルタン:サウジアラビアは、石油のあとを考えていないのが問題で、いまだに経済の大半を湧き出る石油に頼っている。まぁ、過去10年の間に教育とインフラは向上したし、MBAなどの留学は全額、政府が出してくれるのはありがたいが、このままでは維持可能な経済ではないと思う。
ムーギー:石油の話が出たが、サウジアラビアでは石油はやはり安いのか?
スルタン:石油はリッター8セントだ。これに対しフランスは税金を5割も課している。サウジアラビアでは税金はない。
ムーギー:余談だが、中東ではブーズカンパニーがコンサルの御三家より存在感が強いが、これはなぜなのか?
スルタン:ブーズが拡大したのは、ローカルパートナーが多いからだが、ホワイト(白人)とミックスのバランスもよい。ブーズは早期から現地のパートナーを多く採用し、ローカル化に成功した。
サウジの国際政治事情
ムーギー:続いて、サウジアラビアの政治情勢について話しをきかせてほしい。サウジアラビアというと、少し前の中東の春の時にジャスミン革命が全然波及しなかったのが特徴的だったが、サウジアラビアとチュニジアとかエジプトとは何が違ったのか。
スルタン:サウジアラビアでジャスミン革命が起こらなかった理由の一つは、まずサウジに金があることで、国が比較的上手くいっていることだ。中東は若い人が多いので若年失業者の問題はさけられないが、サウジでは比較的雇用情勢もよい。また一部で革命が波及しかけた時に、飴と鞭を使って早期に芽を潰すのに“成功”した。
ムーギー:国際政治の場では、サウジアラビアの悩みの種はなにか?サウジというと、中東にして珍しく親米国というイメージがあるが。
スルタン:国際問題に関しては、イランこそが問題だ。シリアはイランとイラクとロシアが支援している。我々にとってはシーア派のイラン(サウジアラビアはスンニ派)が混乱をきたすのが悩みのため。ここだけの話、イスラエルよりイランの方が我われわれにとっては頭が痛い。アメリカがイランを叩くなら、秘密裏にサウジの航空基地を使わせるとの密約があるときいたこともある。
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