「ロジック完璧」でも企画が通らない人の盲点 世界の有力コンサルタントが教える「腹落ち」

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いくら完璧な提案でも、決定者の心を動かさないかぎり採用はされません(写真:west/iStock)
累計20万部を突破している『仮説思考』『論点思考』の著者、内田和成氏。現在は早稲田大学ビジネススクールの教授で競争戦略論やリーダーシップ論を教えるが、20年以上ボストン コンサルティング グループに在籍し、日本代表を務めた経験もある。経営コンサルタントの仕事を通じて優れた経営者から学んだのは、彼らは経験や直感を大切にしているということである。
大改革を成し遂げた経営者、ユニークな戦略で自社を飛躍させた経営者に、「なぜ、そのような意思決定をしたのか」と尋ねると、「勘です」とか、「答えは誰もわからない、やってみるしかない」という回答をもらうことが多いという。
内田氏の新著『右脳思考』では、優れたビジネスパーソンが意外にも、感覚・感情、直感、勘など、論理(ロジック)では説明できない「右脳」的なものを重視していると述べている。本稿では、右脳と左脳を併せて使う方法を解説してもらった。

駆け出しのコンサルタントだった頃、私の所属していたチームが、あるメーカーに対してM&Aの提案をしたことがあった。業界4位だったそのメーカーは、生き残り策を模索していた。

ロジックフローは完璧でも人は動かない

私たちは、分析の結果、そのメーカーが単独で生き残るのはかなり困難であり、今後の成長は単独ではなしえない、提携、あるいは合併するしかない、という結論に達した。そこでメーカーに対し、グローバル大手とアライアンスを組むべきだと提案した。

『右脳思考』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ロジックフローは完璧だった。分析結果を見れば、そのメーカーが生き残るためには、グローバル企業の傘下に入るのがいちばんの近道であり、最も確実な方法であることは誰の目にも明らかだった。

しかし、結果として、経営者はこの提案を採用しなかった。

提案した日、飲み屋さんで慰労会をやってくれたとき、経営者はこう言った。

「論理的に正しい提案であることはわかるが、自分の目が黒いうちは会社を売るような真似はしない」

ありとあらゆる分析結果を提示して説明しても、経営者は頑として提案を受け入れなかった。

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