東京駅を舞台にしたラブストーリー映画の魅力

本木克英監督「邦画には、こういう映画があってもいい」

東京駅は日本、アジアでいちばん美しい駅

――監督から見て東京駅というのはどういう存在でしょうか。

本木克英●もとき・かつひで 1963年、富山県生まれ。早稲田大学政経学部卒。87年、松竹に助監督として入社。木下恵介、森崎東、勅使河原宏に従事し、助監督やプロデューサーを歴任。98年『てなもんや商社』で監督デビュー。主な監督作品に『釣りバカ日誌イレブン』(2000年)、『釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇』(01年)、『釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!』(02年)、『ドラッグストア・ガール』(04年)、『ゲゲゲの鬼太郎』(07年)、『犬と私の10の約束』(08年)、『鴨川ホルモー』(09年)、『おかえり、はやぶさ』(12年)など。

東京駅は日本、いやアジアでもいちばん美しい駅に、うまくなったのではないかと思います。だから、古いものも捨てずに、新しいセンスのテクノロジーを入れてできた、奇跡的な造形物だと思っています。

――鉄道に対する思い入れみたいなものはありましたか?

僕自身は特に鉄道オタクではないですが、やはり駅や鉄道というのは、違う場所に連れて行ってくれるもので、すごく心躍る存在なのかなと思いながら見ていました。

――実際に電車の走る音をかなり効果的に使っていました。

あれは録音技師に、鉄道好きがいたからです。何日も何日もかけて録っていた。おかげでたぶんいいコレクションができましたよ。

――監督自身は恋愛ストーリーというのは初めてになりますね。

初めてです。どちらかというと今まで喜劇ばかり撮ってきました。僕は松竹だったのですけど、いろいろな諸先輩から、とにかく喜劇さえ撮れれば、あとはどんなジャンルの話であれ対応できると言われていました。挑戦したい好きなジャンルを撮っていましたが、ラブスト―リーを撮るのは、恥ずかしさ、照れがどっかにありました。しかし今回は、まったく照れを捨てて取り組みました。

恋愛ストーリーを撮るときに心掛けたことは、友達の恋愛話などを聞きながら、どんな会話をしているのかをとらえるようにした。あとは、本当にその2人が愛し合っているように見えないと、こういう恋愛ドラマは成立しない。だから理屈ではなく、どうしたら言葉でしゃべらなくても「この2人付き合ってるな」とか、「2人はちゃんとここで恋に落ちた」とか、絶対、カットになるようなそういう瞬間を見つけるように務めました。

たとえば、東出君と木村さんの2人が仙台で、だいぶ付き合いも長くなってお互いの鬱積した思いをぶつけ合うシーンがありますが、そこはとてもリアルな雰囲気になったかなと思いました。

――リアルでしたね。

はい。お互い疲れて、男はしゃべらないし、女性は正論ばかり言うし(笑)。で、もう、恋愛が面倒くさいと思ってしまう。

――しかも仕事がすごく絡んでいる。

あれは脚本上は仙台で働いているという設定だけでした。仙台と聞いたときに、監督は1人目の観客でもあるので、震災に触れないのはちょっとウソになると思った。では、復興の仕事をしている話にして、復興事業をしている人はどんなことしているのだろうと調べて、その場所にいるような設定にしていきました。

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