東京駅を舞台にしたラブストーリー映画の魅力 本木克英監督「邦画には、こういう映画があってもいい」

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現在、新宿ピカデリーほか全国公開中の『すべては君に逢えたから』は、これぞロマンティックなラブストーリー映画と言えるだろう。クリスマスという1年でいちばん人恋しくなる時期を舞台に、男女10人のさまざまな「愛」のかたちを描く。
製作スタッフがラブストーリーの傑作、『ラブ・アクチュアリー』の日本版を目指して作ったというこの作品。「遠距離恋愛で悩む2人」「余命3カ月と宣告された新幹線の運転士とその家族」「偶然かつ最悪の出会いから引かれ合う2人」「会ったことのない母を待ち続ける女の子」など、6つのストーリーをうまく絡ませながら、『すべては君に逢えたから』というひとつの映画を紡ぎ上げている。
ストーリーのキーとなる場所は、2014年に100周年を迎える東京駅だ。昨年、丸の内駅舎の復原工事が完了した東京駅をバックに、それらのストーリーが展開される。JR東日本が全面協力しており、東京駅構内で大規模な撮影が行われたほか、新幹線のシーンなど、JR東日本の協力なしには実現できない場面が数多く登場する。
そんな奇跡のクリスマスを描いた作品の監督を務めたのが本木克英監督だ。『釣りバカ日記』シリーズなど喜劇作品から、『犬と私の10の約束』など、感動作まで幅広く手掛ける監督。ラブストーリーは初挑戦というが、作品の魅力に引かれ、監督を引き受けたという。そんな本木監督に作品の製作秘話、見どころを聞いた。

終電から始発の間の撮影、現場は過酷を極めた

――この映画ができたきっかけを教えてください。

企画がとても良かったので引き受けることにしました。そして東京駅で撮影ができるということと、あとは邦画ではなかなか難しい複数の話が複合していくラブストーリーに挑戦できる点も魅力的でした。

 

そしてストーリー。『ラブ・アクチュアリー』という作品は、ロンドンで撮影されました。それから『ニューイヤーズ・イブ』というゲイリー・マーシャル監督の作品はニューヨークが舞台。では東京のクリスマスのラブストーリーなら……。着眼というか芯がしっかりしていた。撮影現場は過酷を極めましたが、撮り切ったことに満足しています。

この映画は6つの話が複合的に繰り広げられる。だから力の入れ場所がよくわからないまま、とにかくほぼ全力投球していかなければならない。「ここはちょっとテンポよくいったら、ここはゆっくり」というような演出ではなく、すべての話にエネルギーを注ぎ込まなければいけないという点が、監督としては苦労しました。

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