宇宙は数え切れないほどたくさん存在している! MARVEL映画などフィクション作品で頻出の《マルチバース》、その理論を徹底解説

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95%の宇宙
宇宙を語るに欠かせない、量子重力における「マルチバース」の謎について紹介します(写真:Hisaya/PIXTA)
「95%わからない」ままといわれる宇宙ですが、世界の宇宙物理学者たちは「見えない・わからない」宇宙と向き合って、まだ解き明かされていない謎を明らかにしようと日々研究を重ねています。では、これまでにどういった謎があり、どのような仮説が立てられ、反証され、謎が謎を呼んできたのか――宇宙を語るに欠かせない、量子重力における「マルチバース」の謎について、野村泰紀氏の新著『95%の宇宙』より紹介します。

世界のすべて

宇宙を示す英単語ユニバース(universe)のuniは、「一つの」を意味しています。私たちは、宇宙がたった一つだけだと思い込んでいるのです。

具体的には、私たちの宇宙の空間は3次元であり、そこに存在する素粒子は標準模型に従っている、またダークマター、ダークエネルギーなども存在し、これらの事実は宇宙のどこにいっても同じである。そして、これが世界のすべてである、ということです。

しかし、この考えでは理解しがたい現象が存在するのも事実です。その一つは、ダークエネルギーの大きさの問題です。

量子力学のゆらぎを考えて真空のエネルギー密度を評価すると、現在観測されたダークエネルギーの密度より、120桁程度も大きい値が自然だという結論に達します。しかし、真空のエネルギー密度は、ダークエネルギーとして振る舞うので、これは、真空のエネルギー密度が理論の評価値より120桁以上小さくなくてはならないことを意味します。

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