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宇宙は数え切れないほどたくさん存在している! MARVEL映画などフィクション作品で頻出の《マルチバース》、その理論を徹底解説

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  • 野村 泰紀 カリフォルニア大学バークレー校教授
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このような考察からも、私たちは6次元の空間がコンパクト化され、4次元時空しか感じられない宇宙に、たまたま住んでいるのかもしれません。

マルチバースを構成する「泡宇宙」

これら6次元の形が違った宇宙がどのようにできていくのかは、一般相対性理論を使って計算することができます。それによると、これらの宇宙は「泡」のような形で次々に生まれていくことがわかります。

まず、真空のエネルギー密度が非常に大きな宇宙があったとすると、そのような宇宙では急激な加速膨張が起きています。そしてその中に別の宇宙が、あたかも沸騰した水の中にできる水蒸気の泡のように、泡状に次々とできていくのです。

(画像:『95%の宇宙』より)

このプロセスによりできる「泡宇宙」の種類はさまざまです。また、このようにして「親宇宙」から生まれた「子宇宙」の中にも、また多くの「孫宇宙」が泡のように生まれていきます。

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そして、私たちの宇宙は、このようにして生まれた無数の宇宙のうちの一つなのです。

マルチバース理論の証拠を得るのは簡単ではありませんが、この理論が、観測されたダークエネルギーの値を説明できる唯一の理論であることは確かです。また、量子力学と一般相対性理論を融合するという、ダークエネルギーとは全く関係のない動機で構築された理論から自然に導かれる帰結というのも魅力的です。

さらには、将来の観測で探索できる可能性もなくはありません。例えば、もし私たちの宇宙の過去のインフレーションがあまり長く続かなかったならば、私たちの宇宙と他の宇宙が衝突した痕跡を、宇宙マイクロ波背景放射の中に見いだせるかもしれないことが指摘されています。

この他にも、泡宇宙の内側の世界は負の空間曲率を持っている(ので、もし将来の観測で正の曲率が見つかれば、泡宇宙を棄却できる)など、いくつかの観測的な探索の可能性が考えられています。

なお、もしマルチバース理論が正しければ、私たちの宇宙がどのようにして始まったかの謎は解決します(親宇宙の中に泡の生成を通して生まれます)。しかし、この場合でも、最初の宇宙がどのようにして生まれたのかという「時空生成の謎」は残ります

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