「私だけ損してる」と舌打ちしたい女性たちへ 子育て中の女性ばかり優遇される世の中で

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そして自分も大変だけれど相手も大変なんだ、と視点を変えてみるとイライラが少し減ります。なぜ子育て中の女性は大変なのか、夫や男性はなぜ家事育児を分担しなくても免責されているのか、と考えてみましょう。共働きでも夫のほうが自由時間が多いのはなぜか、問題の根はひとつです。

その延長で、“作戦”を考えます。たとえば育児休業を取る同僚がいたら今後どうするか、その間の対応を上司や人事に相談する。それも育休社員の欠員補充をするのが当然でしょ、というのでなく、「これこれの仕事の量はこれこれで、新しい人員がこれだけ必要」といったように、客観的に納得してもらう材料を提供するのです。

ダメもとでも相談をする

どうせ会社は人件費をケチるだろうから要求しても無駄だと思い込んで、初めからあきらめないことです。何も言わないで「損だな~」と思いながら仕事を引き受けていても、感謝されることはありません。今まで余裕があったんだと思われて、評価もされません。ダメもとでも相談してみましょう。

もう1つの対策は、子育て中の女性の負担を軽減するような方法を、一緒に考えてみる、ということです。「お節介」と嫌われるかもしれないので、その人との関係性と内容を見極めたうえで慎重に言わなければなりませんが、あなたが持っている情報が何か役に立つかもしれません。

たとえば、仕事の効率化に関しては、子育て経験の有無にかかわらずアドバイスすることが可能です。

子育て経験のある人であれば、たとえばベビーシッターを派遣する会社のことや、家事援助の家政婦さんの情報をシェアするといったことなどです。

私の子育ての頃はあまりそうしたサービスがなかったので母に頼り、姉に頼り、ご近所に頼りという「総動員体制」でした。今の時代では、夫のサポートも含め、もう少し利用できることが増えています。

大変なことを自分ですべて抱え込まないで助けてもらうように、アドバイスするのは悪くないと思います。相手との間に信頼関係があれば、そうした生活の知恵を先輩から後輩に伝えましょう。

信頼関係の基本は、相手の身になって考えることです。相手の大変さに共感し、応援することから信頼関係は生まれます。

そして損ばかりしているあなたへのアドバイス。「人の世話ができる時が華」です。健康だから、仕事ができるから、会社に勤務しているからこそ、損ができるのです。損しているあなたが、会社と社会を支えていくのです。そして将来、いつかどこかで別の誰かが、あなたをサポートしてくれると思いましょう。

坂東 眞理子 昭和女子大学総長

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ばんどう まりこ / Mariko Bando

1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、1969年に総理府(現内閣府)に入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事、在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事などを歴任。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年から昭和女子大学教授、2007年から同大学学長、2014年から理事長、2016年から総長を務める。著書に330万を超える大ベストセラーになった『女性の品格』ほか多数。

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