41歳で全て失ったライターが遂げた超復活劇 仕事がなくなる中での活路はネットにあった

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「放送作家の仕事って文字は書くんですけど、どこかで発表されるわけではないし、タレントに無視されてしまうことも多い。空気中に溶けてなくなってしまうような仕事なんですよね。いつも『これはやりたくてやってる仕事じゃない。食うためにやっている仕事だ』って思っていました。

しっかりと形として残る文章を作っている妻をうらやましいなと思って見ていました。しかし自分にはもうライターの道はないな、ってあきらめかけていました」

そんなある日、ツイッターを見ていると、NTTレゾナントが運営する「gooいまトピ」というウェブ媒体の公式アカウントが、

「新しいライターを募集しようかな」

とつぶやいているのが、バンッと目に飛び込んできた。ダイレクトメールで「東京に行くから、とにかく会ってほしい」と伝えた。

「このチャンスを逃したくないと思って『これこれこういうことが書けます』と必死に売り込みました」

編集部からは「とりあえず何本か書いてください」と言われた。

原稿料はネットの相場価格だった。もちろんそれだけで食べていける額ではないが、久しぶりにライターとして仕事をしておカネを稼げたことがうれしかった。

「それが2016年だから、非常に最近です。僕はライター歴が長いんですけど、東京から大阪に帰ってきて10年間、休止していたんですね」

ウェブメディアと雑誌媒体の違い

初めてウェブメディアでライターをして、雑誌とはかなり違うなと気づいた。

吉村さんが仕事をしている媒体は編集を通さずに、自分で取材対象を決め自分で取材をすることが多い。写真も多くの場合はライター自らが撮る。

SEO対策(広く露出するための対策)を考えたり、記事がアップされた後ライター自らがページビュー(PV)を稼ぐように動いたりといった“攻めの姿勢”もウェブメディアならではだ。

つまり全部自分でやるのだ。

それは吉村さんの性に合った。

「それってまさに子どもの時やりたかった仕事だって思ったんです。小学校の頃、コツコツと1人で学級新聞を作るの好きだったんですよね(笑)」

いまトピでは、街にあるおもしろいスポットや一風変わったグルメレストランを紹介したり、個性的な人物をインタビューした。まさに、ちびっこ記者だった時と同じ手法だ。

「僕がウェブでライターを始めた時には、すでにウェブ内に有名ライターがたくさんいました。ウェブのどこに自分の居場所があるだろう?と毎日悩み考え、ノートに作戦を書いていました」

吉村さんは長くテレビの仕事をやっていた。だから「テレビが後追いしたくなる」のがどういう記事なのか、知っていた。

「意図的にテレビの取材が後から入るようなネタを選んで記事にしました」

案の定、記事が出たのち、後追いでテレビの取材が入るケースが多かった。

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