岩手17歳バレー部員は「遺書」に何を書いたか 遺族と調書も明かす「行き過ぎた指導」の実態
バレーボールU18代表候補に選ばれるほどの才能を持った生徒が、なぜ命を絶たなければならなかったのか――。
岩手県立不来方高校(紫波郡矢巾町)の男子バレーボール部に所属していた3年生の生徒が、7月3日に自死した。そのわずか半年前には春高バレーに出場。中学では日本選抜(12人)入りし、この3月には高校日本選抜を決める最終合宿まで残るほどの逸材だった。
筆者はこれまで、大阪市立桜宮高校バスケットボール部で起きた体罰による自死など、間違った指導が未成年の自死につながった事件について取材をしてきたが、今回の事件には違和感をもたざるをえない部分が多くある。
息子を失った両親に連絡を取ると、息子に対してきつい指導をしたとされるバレーボール部の顧問(41)、また岩手県教育委員会に対して、提訴する準備もあるという。
さらに10月13日、スポーツ庁と文部科学大臣宛てに、両親がパワハラ根絶対策の全国的な点検を懇願する面談を求める文書をすでに提出したこともわかった。筆者の取材に応じた両親と担当弁護士が今、訴えたいことは何か。
自宅での様子はいつもとなんら変わらなかった
「朝起きてこないので、部屋に起こしに行ったら……。もう亡くなっているとわかっていましたが、救急車を呼びました。とにかく何が起こったのか、すぐにはのみ込めなくて……」
母親は嗚咽しつつも、その朝のことを振り返ってくれた。
母親はすぐさま、単身赴任中だった生徒の父親に電話をした。そして次に知らせたのは、いま提訴を考えているバレー部の顧問だった。母親は顧問とは子どもの部活のことで頻繁に連絡を取り合う関係だったのだ。
「なぜこんなことになってしまったのか、まったく見当もつきませんでした」
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