学校は、なぜ「治外法権」になってしまうのか 巨大組体操、PTAの背景に潜む問題
「こんなものは教育じゃない!」という直感
木村:内田さんは組体操について「近年、これは特に危険だ」と強調されていますけれども、どういう経緯で関心を持たれたんでしょう?
内田:最初、実はさほど関心はなくて、「組体操は人が死ぬようなことはほとんど起きていないから、いいんじゃない?」と、今、僕を批判する人たちと同じようなことを思っていました(苦笑)。
それがあるとき、人から「巨大な組体操の動画があるから、見てごらん」と言われてウェブ上の動画を見てみた。その瞬間に、変わりました。危険だし、「なにコレ?」っていう感じ。こんなもん教育じゃないし、それこそ「目的に照らし合わせて絶対おかしい!」と思った。それであらためて数字を調べて、情報を発信したということです。
木村:その原因はやはり、組体操が巨大化しているということですか?
内田:そうですね。ただ、実は細かいことを言えば、危険なのは必ずしも巨大なものだけではない。たとえば肩車から落ちるのだって、1メートル以上の高さがあるし、土台はグラグラだし、上の人は何かにつかまれるわけでもない。そのまま後ろに落ちれば大事故になってしまいます。
だから「安全な方法が確立されていない中で、高いものや、見栄えのいいものを作っていく」というのが、本質的な問題ですよね。
木村:それは本当によくわかる話です。私も自分で組体操の判例を調べたところ、平成以降の事件では3件のうちひとつは、それほど高さのあるものではなかった。
昨年の秋、ピラミッドの高さを規制した自治体がいくつかありましたね。それで危険じゃなくなるのかな、という疑問もありますけれど。
内田:はい、秋に大阪市や彦根市、そしてその前の春のシーズンには愛知県の長久手市も段数に規制をかけています。教育委員会が、学校よりも先に動いて規制をかけたとみることができます。事故が起きれば、当然、責任を追及されるのは教育委員会ですから。
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