自殺したい中学生を救った大人たちの「言葉」 「若者の死因1位が自死」という日本の現実

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身近に「なりたい大人」がひとりいれば(写真:AH86 / PIXTA)

※前回記事:繰り返される「女の子2人で自殺」の背景

5月31日に厚生労働省が発表した自殺対策白書によると、2015年の自殺者数は2万4025人と過去10年で最少になった。4年連続で3万人を下回り、特に中高年男性の自殺が大きく減っているという。

景気回復に加え、自殺死亡率全国ワーストだった秋田県が2014年、相談事業を強化して19年ぶりに返上(2位)するなど、大人の自殺予防対策の効果が表れているのだ。

その一方で、子どもの自殺は増え続けている。

中高生の自殺死亡率が増える日本

今年4月「改正自殺対策基本法」の施行がスタートした。実に10年ぶりに改正された主な点は「子どもの自殺対策」だ。学校は保護者や地域と連携し、児童・生徒のこころの健康を保つ教育や啓発活動を行うことなどが新たに盛り込まれた。

このような子どもの自殺対策が強化された背景には、子どもの自殺が減らない実態が横たわる。日本の年間自殺死亡率は減少傾向なのに、年齢階級別で唯一増えているのが中高生たちだ。

高校生以下は毎年300人前後が自死しており、若年層の自殺死亡率は先進国の中で最も高い。先進他国では若年層の死因トップは「不慮の事故」が多いなか、日本の死因1位は自殺なのだ。

私たち大人はどう向き合えばいいのだろうか。

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