自殺したい中学生を救った大人たちの「言葉」 「若者の死因1位が自死」という日本の現実
彼女のような教師が増えてくれたら、保護者も子どもたちもどんなに心強いだろう。けれども、今の教育現場はどうだ。
学力テストの結果で、学校の良し悪しが計られる。目立った問題の起きない「落ち着いたクラス」の担任が評価され、「生徒対応」「保護者対応」の困難さばかりが叫ばれる。
そこで見落とされたものはないのか。「ゆとり世代」を否定する大人たちのゆとりのなさが、目の前の子どもたちを実は追い込んでいることもあるのではないか。
疲弊する教師をバックアップできているか
広島県府中町の中学校で昨年、3年生の男子生徒が万引記録について進路指導を受けた後に自殺した。万引きがあったから希望する高校への推薦はできないと担任に言われたことが引き金だった。実はかかわった教師らがほかの生徒と誤って記録しており、この問題は「人災」とも言われる。
だが、学校側や教師の対応を非難し、彼らをスケープゴートにして解決するものなのか。荒れた学校での勤務体験もある阪中さんは「教師の個人的な問題ではなく、疲弊した学校環境を改革しなければ何も変わらない」と訴える。
この広島の学校は問題が多く荒れていたと言われるが、そうした学校では授業さえ成立しない。学校側が「非行があれば(高校に)推薦しない」との規定を、3年時だけでなく1年生から適用すると変更した矢先に起きた悲劇だった。
「そうすれば悪いことをやめる子もいるでしょう。でも、このやり方には疑問をもちます。ただ、ひとつ確かなことは、教員に『(生徒の)いいところ、がんばっているところをしっかり認めよう』と言っても、疲弊している先生たちは、子どもをじっくり見る余裕を持てずにいる場合もあります。教員が変わるためには、もっと教員をバックアップすべきです」
学校は限界を迎えていると感じている関係者は、少なくないのではないか。
保育園に関する書き込みではないけれど、子どもたちは「学校死ね!」「オトナ、死ね!」とは言わない。学校や教師が悪いとは認識しない。
学校に行けない自分、悩んでいる自分を責めた末に、さまざまな生き辛さを抱えたまま命を絶つのだ。
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