子どもに「夢を持て」と言う前にすべきこと 未来に続く「土台」を用意できていますか?

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具体的な夢を持つことが先決なのでしょうか?(写真:つむぎ / PIXTA)
小学校低学年から高学年、そして中学生へ……。周囲に私学を受験する子も増える中で、わが子の成績や先々の進路がまったく気にならない親はいないだろう。どうすれば少しでもいい点が取れ、より上位の学校に進学できるのか。そもそも子どもにやる気を起こさせるには?
約25年にわたり学習塾を運営し、3000人以上の子どもを指導、成績向上に導いてきた石田勝紀氏は「心・体・頭のしつけ」をすることが重要と語ります。この連載では石田先生の元に寄せられた親たちのお悩みに答えつつ、ぐんぐん伸びる子への育て方について考えていきます。
※石田勝紀先生へのご相談はこちらから

 

 【質問】

ご意見を頂きたく、ご連絡しました。昨今、子どもたちに夢がないと言われ、夢を持つことの大切さが言われていますが、うちの子(中学2年男子)も夢を持たないひとりです。周囲のお友達で、しっかりと将来なりたい仕事が決まっているお子さんもいます。
勉強ができる子は、夢を持っているというような話をメディアや周囲で聞き、気になっております。どのようにしたら、子どもに夢を持たせることができるでしょうか。(仮名:吉田さん)

 

【石田先生の回答】

「夢=職業」を早く決めることが重要?

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吉田さん、お便りありがとうございます。

「子どもたちに夢を!」という言葉は私も好きで、夢を持って頑張る子どもたちの姿は美しいものです。夢をもつことでスイッチが入り、今を頑張ることができるようになるとも言われます。その一方で、日本の子どもたちには夢がないと言われることもあり、夢を持たせるための職業、キャリア教育が支持されることもあります。「13歳のハローワーク」といった子ども向けの本が大流行したこともありました。

それにしても、この「夢」という言葉、いったいどのようなものを指すのでしょうか。「夢」と一口にいっても、様々なとらえ方がありますね。例えば、スポーツ選手や登山家が、子どもたちに夢を与える話をするという場合、子どもたちに勇気というものを知ってもらったり、頑張れば願い は叶うものだということを知ってもったりすることがあります。

また一方では、「夢」は「将来なりたい職業」を指すこともあります。「あなたの夢は何?」と聞かれて、「お医者さん」「学校の先生」「幼稚園の先生」、あるいは「パイロット」「ケーキ屋さん(パティシエ)」などと出てきます。これは、「夢」を職業と捉えており、実際の世の中では、このように捉える場合が少なくありません。吉田さんの場合、まさにこのように捉えられた「夢」ですね。

ところが、夢を職業として捉えることには、何か落とし穴がある気がしています。

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