※第1回記事「日本人を襲う『産後クライシスの衝撃』」
妻の不機嫌と、ホルモンバランス
「産後クライシスを体験しました。でも、1年ほどでどうにか回復しつつあります」
「今、息子が3歳だから、きっと切り抜けたってこと……ですよね?」
「うちはいまだに、産後クライシス状態。子どもは来年、小学校なのに」
前回、出産後、急速に夫婦仲が悪化する現象=「産後クライシス」に関する記事を掲載した後、多くの方からさまざまな反響、ご感想をいただきました。その中にあった疑問のひとつが「産後クライシスはいつ終わるのか?」ということです。
いったい、産後クライシスはどれくらい続くのか。
これについては、ネット上でもさまざまな説が挙がっていました。たとえばこんなもの。
『産後のガルガル期は、ホルモンバランスによるもの。それが回復するまではガマン!』
“産後のガルガル期”とは、動物の母親が出産後に子どもを守るため、気性が荒くなることになぞらえて、ママたちが使うネットスラングです。この意見に従うなら、産後クライシスは半年ほどで終わる、という考え方もあるでしょう。
しかし、ホルモンバランスが回復する期間をひとつのメドにするのは、そのリスクをかなり小さく見積もっているかもしれません。
取材してわかったのは、産後クライシスの影響は想像以上に長く続くということです。たとえ離婚しなくても、一生にわたり夫婦に深い爪跡を残す可能性すらあるのです。
夫への愛が復活する妻、しない妻
興味深いデータがあります。
発達心理学が専門のお茶の水大学教授の菅原ますみさんが、257人の家族を23年にわたって追跡調査したものです。