豹変した妻、おびえる夫
朝食を終えたリビング。妻は寝起きのままのパジャマ姿で子どもを抱えて、疲れた目でテレビのワイドショーを見ている。
見るからに不機嫌な妻に気を遣い、テーブルの上の皿を全部、台所に持っていく。台ふきでテーブルを少しふいて、洗い物を始める。最近、皿洗いをするときは、裏側に油分が残っていないかなど、すみずみまで意識をめぐらせて、慎重に行うようになった。
さて、皿洗いはだいたいできた。後は排水溝のヌルヌルをとって終わろう。
それを見ていた妻。突然、何かのスイッチが入った。
「排水溝のヌルヌルの取り方が違う! 何度言ったらわかるの。やり直してよ!」
「!?」
やむなくもう一度、やり直した。しかし、その途中で妻がまた一言。
「本当に下手! やっぱり、もういい。後で私がやるから、そのままにしといて!!」
その後のことはあまり覚えていない。ただ、すさまじく長い間、堂々巡りの口論をしたような……。
なぜ、彼女はせっせと家事をこなしている夫(私)にいらだち、排水溝の洗い方ひとつで、こんなにも不機嫌になれるのだろう。彼女は昔からこんなふうだったのか。何が彼女をこんなふうに変えてしまったんだ? いったい、何が?
産後、消えていく夫への愛情
これは私が取材した、ある夫婦の朝の風景です。
夫はなぜか不機嫌な妻に、どうにか気を遣おうとしていますが、妻はそんな夫にいらだつばかり。全身全霊で、夫への不満を表現しています。
夫によると、もともと夫婦仲は非常によかったといいます。それなのに、いったい何が原因で、こんなにも殺伐とした関係になってしまったのでしょうか?