日本人を襲う「産後クライシス」の衝撃 なぜ妻たちは豹変するのか?

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見過ごされてきた夫婦の落とし穴

この「出産後に、急激に夫婦仲が悪化する現象」。実は、家族社会学などの分野では長年の研究蓄積がある “定説”だったりします。しかし、このことは日本ではあまり語られてきませんでした。

皆さんも何となく実感いただけると思うのですが、これまで多くのメディアは出産を「幸せの始まり」というイメージでしか語ってきませんでしたし、私たちもそれを当然であるかのように受け取ってきたように思います。

しかし、それは実態とのギャップがあると言わざるをえません。実際、出産は夫婦にとって「幸せの始まり」である一方、「夫婦関係の正念場の始まり」でもあります。しかし、この一方しか伝わってこなかったことで、これまで美しい誤解が生じてきたのです。

妊娠中の奥様をお持ちのみなさんは、出産後、自分たちは自動的に幸せになれると思い込んでいませんか? もしそうなら、あなたはこの美しい誤解によって見過ごされてきた夫婦の深い深い落とし穴に、すでにはまっている可能性があります。

離婚の最大原因は、産後クライシス?

この落とし穴のせいかもしれない“事故”の最も深刻なケースは「離婚」でしょう。

興味深いデータがあります。厚生労働省が5年に1度、全国の母子家庭を対象に行う母子世帯等調査、いわゆるシングルマザー白書のデータです。

この調査では調査対象となったおよそ1400人のシングルマザーに「末の子どもが何歳の時に離婚したか」を聞いています。選択肢は「0~2歳」期、「3~5歳」期、「6~8歳」期と3歳ごとに成人の手前まで分けて聞かれています。さて、このときシングルマザーは子どもがいくつのときに最も離婚していると思いますか?

生まれてすぐの「0~2歳」期でしょうか? 少し育児の負担が減る「3~5歳」でしょうか? それとも子どもが小学校になり働きやすくなる「6~8歳」でしょうか?(死別や未婚の母といったケースはデータから除かれています)

――正解は何と「0~2歳」期。この頃の離婚が全体の3割近くを占めます。

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