日本人を襲う「産後クライシス」の衝撃 なぜ妻たちは豹変するのか?

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この時期はまさに、産後クライシスの発生期。実際、どれくらい因果関係があるかについて研究を行ったデータはありませんが、もしこの時期に夫婦の仲が悪化しやすいことが前もってわかっていれば、いくつかのカップルは離婚を避ける対策を取ることができたかもしれません。

実際、制作した番組には、離婚経験のある男性からこんなお便りも届いています。

「バツ1の夫です。1度目の離婚は、まさに産後クライシスで破局しました。当時、私は若く、サラリーマンとして自分を確立しなければならない時期で、育児は妻任せ。それにもかかわらず、妻が妻ではなく、母になってしまったなどと思っていたのです」

とりあえず、出産前に「産後クライシス」という概念を認識する。それだけでも、産後離婚のリスクを減らせるかもしれません。

「産後」を夫婦と社会の問題としてとらえ直す

女性の社会進出が進む中、特に2000年以降は、女性のライフサイクルにかかわるリアルな言葉がどんどん生まれています。恋愛時の“草食系男子”とか、結婚をとりあつかった “婚活”、また妊娠を巡っては“マタハラ”や “卵子の老化”など。これらの言葉は、女性たちに圧倒的なリアリティを持って受け止められています。

この「産後クライシス」も、そんな言葉のひとつと言えるかもしれません。

産後クライシスの実態は、『産後クライシス』(ポプラ社)に詳しい

今、この概念を紹介する意義を言えば、それは産後の育児が妻だけの問題ではないという事実を再認識できる、ということです。

産後の問題は、これまで育児ノイローゼや産後ブルー、産後うつなどが多く取り上げられ、いずれも、主に母と子の問題としてとらえられてきました。それを夫婦や社会の問題としてとらえ直す事は、きっとこれからの私たちの生き方に、大きな意味を持つのだと思います。

このコラムでは不定期で、産後クライシスという言葉が、夫婦にとって、また、特に夫たちにとって、どんな意味を持つ言葉なのかを考えていきたいと思います。

今回、東洋経済オンラインにて、番組で取材した内容をみなさんとシェアする機会をいただきました。現代の20代~30代の日常に大きく横たわるこの問題を紹介することで、みなさんが夫婦の幸せについて考えるきっかけを作ることができましたら、これ以上のことはありません。

※第2回記事「 『産後クライシス』は、いつ終わるのか?」はこちら

坪井 健人 思い出レシピ取材班

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つぼい けんと / Tsuboi Kento

大阪生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。朝の情報番組「あさイチ」の立ち上げに参加。NHKスペシャル「#あちこちのすずさん」や東日本大震災プロジェクト「#思い出レシピ」のプロジェクトマネジメントを担当。著書に「産後クライシス」(内田明香との共著・ポプラ新書)

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内田 明香
うちだ さやか / Uchida Sayaka

NHK報道局記者。埼玉生まれ。

早稲田大学政治学研究科修士課程修了。出産を機に待機児童や少子化問題について取材を深める。
産後クライシスの威力を実感。
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