生徒全員を救う事を目指さない「N高」の戦略 川上量生「初年度は1500人しか来なかった」
吉田:N高にはネット部活というのがあって、実は僕、クイズ研究会の特別顧問をやらせていただいているんです。そこで実際にN高内のSlack(スラック)を見ていると、かなり頻繁にやりとりがされているし、なおかつそれが普通の友達と比べてまったく遜色のない関係になっていることも実感しますね。
川上:僕らとしても、通っていることを自慢できる学校を作ろうと思ってはいたんだけど。
「誇りを持てる学校を作る」というのは、すごく大変なことだと考えていたんです。いろいろな努力をした結果、ようやく自慢できる学校になるんだろうと思っていたんですが、生徒たちが予想以上に早く受け入れて、誇りを持ってくれた。ただそれは逆にいえば、いかにそういう存在が求められていたのかということでもありますね。
進学校の不登校の子たちがN高を選ぶ
吉田:ネット住人ってコンプレックスと優越感の両方を持っていて、彼らの優越感側に寄り添う場所というのが、特に学校という世界にはまるでなかったんですよね。
川上:そうなんですよ。職場としてはIT企業とか、いわゆるネット住人たちがエンジニアとして輝けて、俺たちのほうがわかっていると胸を張れる場所があったんですが、学校にはなかった。だからN高は設立を発表した段階で、そういう場なんだと認識されて、みんながそれに反応したんでしょうね。
吉田:うちの娘は中1なんですが、一時、ユル不登校をしてまして、1日中ず~っとネットを見ているんですよ。それこそニコ動とかYouTubeなんかを。それなのに本人に「だったら高校はN高がいいんじゃないの」って言ったら、本人は「ええ~っ」と。