樹木希林さん「難の多い人生は、ありがたい」 不登校経験者たちに語っていた言葉

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2014年当時にインタビューを受けてくれた女優・樹木希林さん(写真:不登校新聞)
報道によると、女優・樹木希林さん(75歳)が9月15日に死去していたことがわかりました。『不登校新聞』では、2014年に樹木希林さんにインタビューをしました。私たちは小さいメディアですが、そのメディアに対しても、樹木さんは真摯に向き合って単独で取材を受けてくれました。4年前の取材ですが、樹木さんの話されたことは今も私の胸に深く突き刺さるものでした。当時のインタビューをそのまま掲載いたします。(『不登校新聞』編集長 石井志昂)

石井志昂(以下・石井) 今日はありがとうございます。まずは一番気になっていることからお聞きします。なぜ『不登校新聞』に出ていただけるんですか?

当記事は不登校新聞の提供記事です

樹木希林(以下・樹木) いやあ~、こんな新聞があるんだな、と。私も年を取りましたけど、まったく知りませんでしたから。最近はほとんど取材を受けてないんですが、ぜひ新聞をつくっている人に会えたらと思ったんです。ただ、読んでみたらなんてことはない、私もその傾向があったなと思います。小さいころからほとんどしゃべらず、じーっと人影から他人を見ている、自閉傾向の強い子でした。当時は発達障害なんて言葉はなかったけど、近かったと思います。

夫・内田裕也はありがたい存在

石井 私が取材したいと思ったのは、映画『神宮希林』のなかで、夫・内田裕也さんについて「ああいう御しがたい存在は自分を映す鏡になる」と話していたからなんです。これは不登校にも通じる話だな、と。

樹木 あの話はお釈迦さんがそう言ってたんです。お釈迦さんの弟子でダイバダッタという人がいます。でも、この人がお釈迦さんの邪魔ばっかりする、というか、お釈迦さんの命さえ狙ったりする。お釈迦さんもこれにはそうとう悩んだらしいですが、ある日、「ダイバダッタは自分が悟りを得るために難を与えてくれる存在なんだ」と悟るんです。

私は「なんで夫と別れないの」とよく聞かれますが、私にとってはありがたい存在です。ありがたいというのは漢字で書くと「有難い」、難が有る、と書きます。人がなぜ生まれたかと言えば、いろんな難を受けながら成熟していくためなんじゃないでしょうか。

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