樹木希林さん「難の多い人生は、ありがたい」 不登校経験者たちに語っていた言葉
私は、よく思うんだけど、誰だってチャーミングなところがあるのに、ほとんどの人がそれにふたをしちゃってるんです。たとえば、俳優の小林亜星さんっているでしょ。ドラマ『寺内貫太郎一家』(74年放送)を始めたとき、私たちが主役は小林亜星さんがいいって言ったのよ。亜星さんなんて太ってるぐらいしか取り柄のない人でしょ。
一同 いやいやいや(苦笑)
樹木 あの人はホントに太っている人のよさをすごくわかっている。所作がちがう。ああいうのが大事なの。今や、女優もアナウンサーも、最近じゃスポーツ選手もみんな同じ顔だからね。同じような顔に同じような服を来て、それで若い女優さんは「役が来ない」ってこぼすんだから、もうこっちはケンカ腰よ(笑)。
親もいっしょに降りて寄り添うしかない
石井 最後に自分の子どもが不登校やひきこもりだったら、つまり、御しがたいダイバダッタのように見えたら、親としてどう向き合えがいいのかについて教えてください。
樹木 うん……、きっと自分だけが助かる位置にいちゃダメなんだろうと思います。自分も降りていかないと。夫は「不良になるのも勇気がいる」と言ってましたが、道を外すのも覚悟がいることです。親も子も今の環境や状況を選んだわけじゃないだろうし、そうならざるを得なかったのかもしれません。でも、それはそれで親子ともどもいっしょにやっていこう、と。路上でもいっしょに生活しようという覚悟を私ならすると思うんです。いっしょに住んでいる人はホントにたいへんだと思いますが、結局、親はその子の苦しみに寄り添うしかないです。言って治るようならとっくに治っています。最初の話に戻りますが、自分が成熟するための存在なんだと受け取り方を変えるのがいいのではないでしょうか。
石井 なるほど
樹木 最後になっちゃったけど、この新聞はたいへんなお仕事だと思いますが、かならず救われる人がいると思いますし、ぜひがんばってください。もちろん自分にとってもいい出会いができると思います。今日はどうもありがとうございました。
一同 こちらこそ、本当にありがとうございました。
(2014年12月15日『不登校新聞』掲載)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら