「昨年10月以降、中国人のお客さんからの問い合わせがめっきり減り、成約に至るケースが少なくなった」
こう話すのは、中国人向けに日本の不動産仲介を手がける「楽瀛(やすひろ)」の鄭軼軒(テイイツケン)社長だ。それまで平均月10件以上あった成約は3〜5件に減った。周囲の同業者は軒並み赤字に陥り、事業を畳む人も現れている。
背景には、通称「経営・管理ビザ」の厳格化がある。経営・管理ビザは、外国人が日本で会社を経営したり役員になったりするための在留資格だ。2025年10月16日から資本金要件が引き上げられ、従業員の雇用基準も厳格化されたことで、ビザの新規取得や更新のハードルが上がった。鄭社長によると、制度変更や今後の運用への不安から、更新の見送りや日本を離れることを検討する顧客もいるという。
5000万〜2億円の物件を求める中間層を直撃
打撃を最も受けたのは、鄭社長がメインの顧客とする5000万〜2億円の不動産を求める中間層だった。さらに資金力のある中国人富裕層への影響は比較的少ないが、こちらも取引は停滞しているという。
「都心の物件価格が大きく上昇しているため、購入に慎重になり、『将来、購入時に近い価格で売却できるのか』という不安から、決断に時間がかかっている。住み替えを希望する人も、5年前に購入したときと比べて価格水準が大きく上がっていることに驚き、成約まで慎重に検討するケースが増えている」(鄭社長)。日本市場の停滞を受け、鄭社長は新規事業として始めたドバイやアブダビの不動産仲介に軸足を移し始めている。
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