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元オリンピック選手である中村恒一さん(60代、仮名)は、SNSで友達申請をしてきた「酒井清子」と知り合ったことをきっかけに、その叔父で金融の専門家を名乗る「許成剛」らから多額の金をだまし取られた。その手口は、恋愛感情を醸して金銭を騙し取る国際ロマンス詐欺とSNS型投資詐欺の複合型で、実行犯の正体は国際的な詐欺グループである可能性が高い。
SNSを駆使した投資詐欺被害は年々拡大している。警察庁によると2025年の認知件数は前年比48.5%増の9523件、総被害額は同47.9%増の1288億円、1件当たりの平均被害額は約1352万円に達した。いずれも過去最高値だ。
人生経験がない若い世代や投資経験が浅い高齢層だけがターゲットになっていると思われがちだが、必ずしもそうではない。中村さんはスポーツ選手としてもアスリート育成の分野でも第一線を走ってきた。自身で株式投資もしていた。そんな中村さんでさえ、大切に積み上げてきた全資産を奪われてしまった。
インタビューの第4回(最終回)は、なぜだまされたのかについて、中村さん自身が考察する。
――「酒井清子」と、その叔父で金融の専門家だという「許成剛」から追加で資金を出すよう要求されたことに対して、中村さんはどのように対応しましたか。
私は清子に、自分の考えを率直に伝えることにした。
恒一:清子、おはよう。今朝は3時に目が覚めました。中国の2時だから、まだ夜中ですよね。最近、よく眠れない日が続いている理由の一つを今日は解決したいと思います。許先生は、なぜここまで強く、私に「資金を出しなさい」と指導するのか。もちろん、先生が計画する資産形成を早期に達成するためであることは理解します。しかし、その根底にあるのは「姪からの依頼」ですよね。清子にお願いがあります。叔父さんへ、「恒一の資産形成は考えなくてよい」、「恒一を富豪にする必要はない」と伝えてください。そして、清子が私へ期待した思いが勘違いであることも伝えてください。清子とたくさん交流してきました。私は清子を信頼しています。今も私の気持ちは、トレードに出せる金額は100万円程度です。許先生の人柄と背景を信頼し、私は自分の資産内容を公開しました。まず、このことを反省しています。このことを伝えなければ、トレードに資産全部を求められることはなく、100万円が妥当だという自分のバランス感覚が保てたはずです。(6月8日4時51分)
清子にこのメッセージを送った後、私は仲介していた証券会社V Element Partner Limitedに、これまでに振り込んだ元金2000万円の出金依頼をした。もう、手を引きたかったのだ。
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