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生徒全員を救う事を目指さない「N高」の戦略 川上量生「初年度は1500人しか来なかった」

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川上:やっぱりそこなんですよ。人生を預けるわけですから。いよいよ来年3月、N高で3年間学んだ子たちが初めて卒業するのですが、そこで東大合格者が出るかどうかというのが、当面のN高の世間における評価を分ける判断軸になってしまうと思いますね。

大量の消費者を相手にすることで大規模化してコストを下げる。結果、低コストで高品質のものを消費者に届けるというのが資本主義の基本のモデルです。けれど教育業界ではそれが難しかった。

40人が1つの教室に集まって一斉に同じ授業を受けるのは一見、効率的だけれど教育の質という点で考えると決して高くはない。それよりも通信制高校でITとネットを活かして、一人ひとりに最適な教育をやったほうが効率がいいに決まっているんです。

ところが、現実の通信制高校というのはどちらかというと高校の卒業資格を得るためだけのものになっているところが多い。でも本来はいちばんのエリートに最高の教育を、しかも低コストで提供できるモデルのはずなんです。

吉田:それをやっちゃおうというのがN高ですよね。

1人の優秀な先生がいれば、何万人でも教えられる

川上:理念で言うとN高モデルは単純で、通信制高校なので授業をやるのは優秀な先生1人でいいんですよ。1つの優秀な教材を使って1人の優秀な先生が授業を行えば、その先に生徒が何人いても、ある意味、原価は変わらない。だからN高モデルは、生徒数が増えればどんどんお金をかけて教育の質を上げられるのです。

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吉田:今はその増加を目指す段階にあるわけですね。

川上:そうです。N高みたいな教育をやろうとすると最低でも1万人、できれば2万人ぐらいの生徒がいないとお金的には厳しい。現状でそんな通信制高校は世の中にないんですけど、このままのペースでいけば、N高は将来的にはそのくらいは達成できるだろうと思っています。

そこで最初から予算もそれくらい使っちゃおうと。だから正直、今は赤字です。けれど、いずれは必ず採算も合うし、もっとお金もかけられるようになると思います。そうすれば他のどの高校にも真似できないレベルの教育を生徒一人ひとりに提供しつつ、ビジネスとしても収支が合うようになるんです。

(構成:岩根彰子)

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