フランス革命の象徴「断頭台"ギロチン"」は、本当に「人道的な処刑方法」だったのか?残酷な歴史から学ぶ「人権」と「フランス革命」の悲劇

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2024年7月、パリ五輪開幕式に登場した、生首を持つ赤いドレスの女性人形(写真:アフロ)
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かつて「伝説の学習参考書」と呼ばれた名著をご存じだろうか。1976年に初版が発行され、多くの受験生のバイブルとして版を重ね続けてきた『大学への世界史の要点』である。
作家の佐藤優氏が40年以上、たえず読み返してきた「座右の書」であり「最高の基本書」であり「伝説の学習参考書」であるこの名著が、読みやすく完全リライトのうえ、最新情報も加筆されていっきに学び直す世界史 第1巻【西洋史 古代・中世】〈世界の原点を学ぶ教養編〉』『いっきに学び直す世界史 第2巻【西洋史 近世・近代】〈現代世界の源流がわかる知識編〉として生まれ変わった。
特長は、リニューアル復刊にあたって、「歴史の動き」がわかり「通史」が身につくように「ストーリー」を重視して書き直されていること。執筆者が全編チェックし、「半世紀の歴史学の成果」を反映して「最新の内容」を盛り込んでいることだ。
同書はたちまち増刷するなど、大きな話題を呼んでいる。
本連載では、同書の執筆を担当した市川中学校・市川高等学校教諭の馬場晴美氏が、フランス革命と「ギロチン」について解説する。

パリ五輪の開会式で賛否を巻き起こした「生首」の演出

2024年のパリ五輪開会式で、賛否両論を巻き起こした演出がありました。首から上がない、赤いドレスを着た何人もの女性たち(の人形)が、自らの生首を持って登場するというものです。

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この演出は、明らかにフランス革命を示していました。

なぜなら、人形が置かれた場所は、王妃マリー・アントワネットが断頭台(ギロチン)で首を斬られて処刑されるまでの期間を過ごしていた監獄コンシェルジュリだったからです。

しかもこのとき流れていた曲は、革命時代に流行した歌「サ・イラ」。激化した革命の後半では「貴族どもを縛り首にしろ!」という歌詞も用いられたといわれる歌です。

さらに終盤には、監獄の窓から赤い紙テープと煙が噴き出し、“流血”を想起させていました。フランス革命をモチーフにしていることは明白でした。

これは逆にいえば、ギロチンがフランス革命の象徴のひとつだということにほかなりません。フランス革命は、なぜそんな残虐なことになったのでしょうか。

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