カリスマの条件…ファンはなぜスターに興奮? 「オペラ大図鑑」でたどるオペラの壮大な歴史
プリマ・ドンナ
17世紀から18世紀にかけて女性が舞台に登場することが許された地域では、プリマ・ドンナ(直訳は第一の女性)が愛された。ヴェネツィアでは、オペラハウスを満席にした最初の女性歌手アンナ・レンツィがこの名で呼ばれた。彼女の歌った役にはモンテヴェルディの1643年のオペラ《ポッペアの戴冠》のオッターヴィアなどがある。ヘンデルの時代になるころには、イタリアのファウスティーナ・ボルドーニとフランチェスカ・クッツォーニの名がヨーロッパ中に知られていたが、華やかな声の名人芸だけでなく、かっとなりやすい短気な性格でも有名だった。
18世紀末に活躍したカテリーナ・ガブリエッリもまたロシアからシチリアまで、ディーヴァの喜びを振りまくとともに、ディーヴァならではの騒ぎも引き起こした。カストラートのカッファレッリと同じように、ガブリエッリも上演中のとんでもない行動によって短期間ながら刑務所に送られたことがある。
















