オペラって何?400年の歴史を5分で解説!後編 「オペラ大図鑑」でたどるオペラの壮大な歴史
オペラを鑑賞したことはあるでしょうか?
魂に触れるオーケストラの音楽と歌手の肉声、人間の感情をあますところなく表現する物語、演出、工夫を凝らした舞台装置と衣装。
”総合芸術”であるオペラは、舞台芸術の愛好家だけでなく、すべての芸術ファン、そして大人の教養でもあるといえるでしょう。
大型書籍『オペラ大図鑑』は、オペラの誕生から現代作品にいたるまで400年以上の壮大な歴史を、美しい多くのカラー写真とともに、イタリア、ドイツ、フランス、ロシア、チェコなど国ごとに、年代順で、182作品をも詳説した贅沢なヴィジュアルブックです。
日本では、東京・初台の新国立劇場にオペラパレスがあり、そこでは大野和士芸術監督の下で最高水準の公演が制作されています。今年は「椿姫」「コジ・ファン・トゥッテ」「トスカ」などが上演。海外からの招聘公演も戻ってきました。
この素晴らしい“総合芸術”オペラについて、鑑賞前の手引きとしても、その魅力をより深く味わうためにも、本文の一部を抜粋して紹介します。
国民オペラの誕生
オペラのその後の展開を知るには、時代よりも地域別にたどるのが最もわかりやすい。たとえば、19世紀はイタリア、ドイツ、チェコの各地域がそれぞれ国民国家への道を歩み、帝政ロシアがヨーロッパに接近した時代だった。同時に、旅行の拡大もまた相互交流を促進した。これほど大きく変化していく時代にあっては、オペラへの影響も必然だった。
グルックとモーツァルトの影響を受けつつ、旋律へのこだわりを持つイタリア音楽は、19世紀に5人の大作曲家を生み出した。ジョアキーノ・ロッシーニは17歳から37歳のあいだに39のオペラを創作した後、完全にオペラの作曲をやめた。《セビーリャの理髪師》や《チェネレントラ》などのオペラで、ロッシーニは「ベルカント」(流麗かつ技巧的な歌い方)を洗練させたが、これは後継者である作曲家ヴィンチェンツォ・ベッリーニとガエターノ・ドニゼッティに引き継がれた。
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