オペラって何?400年の歴史を5分で解説!後編 「オペラ大図鑑」でたどるオペラの壮大な歴史

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さらに偉大な作曲家が登場する。ジュゼッペ・ヴェルディだ。ヴェルディは数々の忘れがたい作品を創作しただけでなく、オーストリアの支配に対するイタリアの抵抗運動「リソルジメント」(イタリア統一運動)を、人間を通して描き出した。

とりわけ《ナブッコ》は、こうした抵抗のメタファーと言えるが、《リゴレット》《イル・トロヴァトーレ》《椿姫》などの人気作品は非常にロマンティックだ。ヴェルディの後継者であるジャコモ・プッチーニもまた、悲劇的なラブ・ストーリーに惹かれた点では劣らない。忘れがたい旋律にあふれるプッチーニの傑作オペラ《マノン・レスコー》《ラ・ボエーム》《トスカ》《蝶々夫人》は、いずれも不幸な定めのヒロインを描いている。

オペラの中心都市パリ

イタリア・オペラはイタリアにしっかり根づいていたが、1820年代以降はパリがヨーロッパのオペラの中心地となり、ヨーロッパ中から作曲家が集まった。彼らの影響力は絶大で、ロッシーニやドニゼッティ、ヴェルディもパリで作曲している。ドイツ出身のジャコモ・マイアベーアは「グランド・オペラ」として知られるスペクタクルを創作した。歴史的な題材の台本、豪華な舞台美術、長いバレエの間奏曲を含む5幕から成るオペラである。同じくドイツ出身のジャック・オッフェンバックはオペレッタ(オペラ・ブフ)を考案し、パリで、さらにヨーロッパ中で大人気となった。

このようにフランス・オペラは独自の路線を切り開かなければならなかった。エクトル・ベルリオーズは「グランド・オペラ」に背を向け、少数の抒情的な作品を創作した。シャルル・グノーとジュール・マスネはローマで学び、旋律が美しいイタリア風オペラで名を成した。ジョルジュ・ビゼーは寡作だったが、エキゾティックな設定、激しいラブ・ストーリー、覚えやすい旋律の作品《カルメン》で世界に名を轟かせた。だが、この時代のフランス・オペラの歴史で最も革新的な作品と言えるのは、もう一人の異端者クロード・ドビュッシーによる《ペレアスとメリザンド》だろう。

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