オペラって何?400年の歴史を5分で解説!後編 「オペラ大図鑑」でたどるオペラの壮大な歴史

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ドイツ・ロマン主義

不思議なことに、19世紀ドイツの偉大な器楽曲の作曲家のうちオペラに惹きつけられたのはベートーヴェンだけで、作品は《フィデリオ》のみである。それに対し、リヒャルト・ヴァーグナーはオペラにだけ関心を持ち、19世紀半ばまでには通作形式の音楽、表現主義的なオーケストレーション、型破りな和声、壮大な旋律の「アーチ」によってオペラという芸術形式を変えつつあった。

ドイツ・ロマン主義に台本へのインスピレーションを求めたヴァーグナーは、宗教的と言えるほどの熱意で民族的な物語の素材にのめり込んだ。初期のオペラ《タンホイザー》と《ローエングリン》で確立したロマン派的なスタイルは《トリスタンとイゾルデ》で頂点に達した。だが、ヴァーグナーが崇拝されるのは、何よりも《ニーベルングの指環》として知られる記念碑的4部作の楽劇による。

ヴァーグナーの影響力は絶大で、2世代にもおよぶ作曲家たちがその影から抜け出すのに苦闘した。それに成功した最初の作曲家の一人がリヒャルト・シュトラウスだ。初期の作品で彼はヴァーグナーのラディカルさを新たな高みまで推し進めた。そして、ヴァーグナーのロマンティシズムを土台にモーツァルトまで取り込んで、今も人気がある《ばらの騎士》《ナクソス島のアリアドネ》《アラベラ》《カプリッチョ》を創作した。

19世紀はまた国民派「音楽」が誕生した時代でもある。ロシアではミハイル・イヴァノヴィチ・グリンカがスラブ民謡を借用し、モデスト・ムソルグスキーは《ボリス・ゴドゥノフ》でロシアの史実を舞台に持ち込んだ。だが、西欧の主要なレパートリーに加わったのは《エフゲニー・オネーギン》や《スペードの女王》を書いたロマン派の作曲家、ピョートル・イリイチ・チャイコフスキーだ。同様に、チェコではベジドフ・スメタナが国民オペラの父と称賛される一方、レオシュ・ヤナーチェクは《イェヌーファ》と《カーチャ・カバノヴァー》のような、さらに洗練された作品を創作した。ヤナーチェクのこの2作品は、今ではモーツァルトの作品と並んで上演されている。

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