ひとりで暮らす人の家から、人生を深掘りする連載「だから、ひとり暮らし」。自由なイメージのあるひとり暮らし。しかしそれを手に入れるまでの道のりは、人によっては、決して平坦ではない。難病を抱えつつも自活する青木敬也さん(30歳)にとってはなおのこと。
常に他人の手を借りることが必要な身体であっても、自分の暮らしは自分で選びたい。切実な思いを胸にひとり暮らしに踏み切った、青木さんに話をきいた。
どうしても実現したかった「ひとり暮らし」
西東京の静かな住宅街。ドアホンを押すと、ヘルパーさんが扉を開けて迎えてくれた。1Kのこぢんまりとした部屋。キッチンの奥の6畳程の部屋に、車いすの上で穏やかにほほ笑む青年がいた。
青木敬也さん、30歳。SMA(脊髄性筋萎縮症)という遺伝性の難病とともに生きている。SMAは筋肉を動かすために必要な神経がうまく働かない病気で、その結果筋力が徐々に失われてゆく。青木さんは現在、首から下はほとんど動かせず、24時間の介護が必須だ。将来は、自力で呼吸できなくなる可能性すらあるという。
「ひとりでは生きていけない。でも、助けを借りる環境を自分で整えている。だから、僕はこの生活も、“自分で生きている”のだと思っています」(青木さん 以下の発言すべて)
穏やかに語る青木さんのまなざしは、真っ直ぐで誇り高い。身体は動かなくても、その表情のひとつひとつから、彼の聡明さと意志の強さが見て取れた。



















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