「知識偏重」「暗記」教育に対する大いなる誤解

「生きた知識」と「死んだ知識」の違いとは?

「知識偏重」を非難せず、まず知識とは何かを考える必要がある(写真:evgenyatamanenko/PIXTA)
近年、従来の教育が「知識偏重」と批判される傾向がある。果たして、教育にとって知識とはどういう意味を持つのか。認知科学の視座から学びのメカニズムを研究する慶應義塾大学・今井むつみ教授が解説する。

「アクティブラーニング」あるいは「主体的な学び」ということばが、今の教育界のキーワードのようである。

しかし、「主体的な学び」が何を意味し、何を実践すればそれが実現できるのかについては、深い議論があまりされていないし、教育現場でも、理解しようともがいているのが現状のように思われる。

共同、協調して行う学習形式のこと、あるいは積極的に発言をすることが「主体的な学び」と受け取っている様子も散見される。

本来、「主体的な学び」とはどういう学びなのだろうか。「主体的な学び」というからには、「主体的でない学び」があるということが前提となっている。では「主体的でない学び」とは何なのだろう。

学ぶとは、知識を得ること

「主体的な学び」を標榜する人たちが、従来の学びを「知識偏重」と批判するのをよく耳にする。「知識はもういらない」という過激な言葉を聞いたときには驚愕した。認知科学の観点からすると、「学習」は「知識」と切り離して考えられないからである。

従来型の学びを「知識偏重」と批判する裏には、知識というのは、1つずつカードに書いてあるような知識(の断片)があって、それを個別に覚えていく、というような知識モデルがある。

さらにその背後には、知識というものは出来上がった、固定化されたものであって、そこに新たな断片が張り付いていって、知識のボディを大きくしていくというイメージがある。

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