脱北者の元作家が送る波乱万丈すぎる人生 日本で生まれ海を渡り「党員」になった末に

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脱北をして現在は韓国に住んでいる金柱聖さん(筆者撮影)
これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむと古田雄介が神髄を紡ぐ連載の第40回。

前職は北朝鮮の朝鮮労働党の作家

フリーランスで働く人たちの多くは、もともと別の職業についていた人が多い。

サラリーマンだったり、公務員だったり、とさまざまだが、金柱聖(キム・ジュソン)さんほど珍しい職業についていた人はいないだろう。氏の前職は、北朝鮮の朝鮮労働党の作家だった。

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作家と言っても、日本の作家とはずいぶんちがう。作家たちは党の宣伝扇動部傘下の朝鮮文学芸術総同盟の朝鮮作家同盟に所属する。

作家たちにはランクがあり、トップに登りつめると「金日成桂冠作家」と呼ばれ人間国宝のような扱いを受けるそうだ。

彼らが書いた作品は作家同盟の機関誌に掲載される。ジャンルは「学習用」か「宣伝扇動用」の2種類しかない。

目指すところは「文学の面白さ」ではなく大衆を扇動し、宣伝動員することだ。金柱聖さんも、祖国(北朝鮮)のすばらしさを訴えるような文学を書いていた。

結局、金さんは作家同盟を辞め、その後脱北をして現在は韓国に住んでいる。講演会やテレビ出演をするため、韓国中を忙しく回っている。そのかたわら日本向けに北朝鮮の実態を語った『跳べない蛙』(双葉社)を出版された。

今回は双葉社の応接室で、金さんがどのような人生を経た結果、現在に至っているのか話を聞いた。

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