「離婚しないでくれたらよかった、というのは思います。離婚がなければ、その後いろいろ大変なことに悩まされることはなかったので」
私も離婚したひとりの親の立場として、しっかりと受け止めたい言葉でした。
会いたいかどうかがわからない理由
養育費のことを抜きに考えたとき、実父に会いたいという気持ちはある? そう尋ねると、「よくわからない」と、忠孝さんは答えます。
「『会いたいかどうか』って、本当に、よくわからないんですよ。小中学生だと、もっとわからないんじゃないかと思う。会うとなったとして、父親のほうがどう思うかもわからない。会わなくなって5年も経つので、さすがに(実父も)変わっていると思うし。
継父のところのように同居親の意向で会えないケースもあるけれど、うちみたいに『1回会わなくなってしまって、それからなんとなく、そのまま会わない』というケースも、実はけっこうある気がします。『虐待があった』とかならともかく、『絶対会いたくない明確な理由がある子』って、意外と少ないんじゃないかなって」
会いたいかどうか、よくわからない。そういった子どもが意外と多いことは、私も感じてきました。
子どもと離れて暮らす別居親のほうは、子どもや元配偶者の新生活への遠慮などもあり、積極的に「会いたい」と言ってこないのかもしれません。でも、子どもたちはうっすらと傷つきつつ、その感情を封印してしまう。それで「わからない」という感覚になるのではないか。私自身の子どもと元夫の関係を見ていても、そう思ったことがありました。
「向こう(実父)の親、おじいちゃんおばあちゃんにも会っていないのですが、祖父母はもう80代後半。父親のことはゆっくり考えていいかなと思うんですけれど、祖父母のほうは先にと思います。ときどき手紙も来ているので」
それは、なるべく早く会いに行ってあげなよ……。私が口を出すことではないのですが、つい言わずにはいられませんでした。祖父母にだって孫に会う権利はあるでしょう。忠孝さんがいやでないのなら、会ってあげてほしくなります。
そして、5年間会っていない息子のために毎月黙々と養育費を払い続ける父親の思いと、何も連絡をしてこない父親に対する息子の複雑な思い。いつか、交錯するときは来るのでしょうか。
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