さまざまな形の家族や環境を経験した子どもたちは本当はどんなことを感じているのか。子どもたちの声を聞く「おとなたちには、わからない。」シリーズ2回目。前回記事に続き、自身が高校生のときに、親の離婚を経験した椛島晴子さん(仮名)のお話です。
晴子さんは、とある省庁にお勤めのシングルマザー。30歳になるダウン症の息子さんと暮らしています。晴子さん自身も、高校生のときに親の離婚を経験しました。原因は、父親の浮気です。
特徴的だったのは、晴子さんの父親の交際相手が男性だったことです。最近でこそ、ゲイもレズビアンもそう珍しくない世の中になりましたが、40年前当時、家族はかなり驚いたのではないでしょうか。
母親が父親を気持ち悪がるのがストレスだった
「父親に交際相手がいることも、相手が同性だったことも、子どもにはいっぺんに来るから、分けては考えられないんですよね。ただ、ショックが倍になるかっていうと、そうでもない気がします。
父親が当時付き合っていた相手が辛気臭い感じの人で、私はそれがいやでした。もしあれが、その後に付き合った今のパートナーだったら、全然感じ方は違っていたかもしれない。わかりませんけれどね(笑)。
それよりも、母親の気持ち悪がり方が激しかったので、それがすごくストレスでした。子どもにしたら、自分の父親のことなので」
親の離婚を経験した人からはよく、「一方の親が他方の親の悪口を言うのを聞かされるがつらかった」という話を聞きます。晴子さんの話のように「一方の親が他方の親を気持ち悪がる」というのも同じかもしれません。
親にとっては、配偶者は別れれば「ただの他人」なので、つい気安く悪口を言ってしまうのですが、子どもにとっては、両親が別れても親であることに変わりありません。その親を否定されることは、自分の半分を否定されるように感じるのです。
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