――今後どのような使い方を提案しますか。
エンターテインメント的な使い方はもちろん、少し意外な使い方としては、スピーチコンテンツや言語学習などにも向いていると思います。500Hzまでの音を振動として体で感じることができるため、通常のスピーカーよりも声が明瞭に聞き取れます。外国語を学んでいる人たちなどにとって、ヘッドホンで聞くよりもはるかにクリアに音声を聞くことができるのです。
さらには、「サイレント・リスニングデバイス」と呼んでもいいくらい周りの迷惑にならない形で、パーソナルにさまざまなコンテンツを楽しむことが可能です。実際に会話するときにも、おそらく耳だけでなく、体に伝わる振動を使って音声を感じているとされています。サウンドスケープといって、音声のみならず周囲の雰囲気そのものを感じることができるのも「HUMU」の特徴です。
こうしたサウンドスケープやアンビエンスと呼ばれる環境音はイヤホンなどで再生するのは難しいのです。「HUMU」を使うと、メインの音声だけでなく雰囲気そのものも感じることができるのも特徴ですね。今後は、クッションなどのオーディオアクセサリー製品だけでなく、映画館に導入されているシアターチェアや自動車のシートといったものに組み込むような形での商品開発も進めていきたいと考えています。
音に包み込まれるような不思議な感覚
「HUMU」とは、ハミングやコミュニケーションを意味するネーティブ・フィンランド語だという。その想いを形にした開発者の話を聞いて、うわさに聞こえる"音に包み込まれるような不思議な感覚"の根拠にも納得だ。百聞は一見にしかず、実際に「HUMU」でオーケストラの響きを体験してみると、まずはその包み込まれるような優しい音響と音の広がりに驚かされる。
スピーカー内蔵クッションという意味では、わが家の1992年式ユーノスロードスターのシートに組み込まれた内蔵型スピーカーをイメージするが、これは根本的に別物であることがよくわかる。耳のそばでスピーカーを鳴らすシステムと、音響的に包み込まれるシステムの違いは明白だ。個人的には、「HUMU」を搭載したロードスターをぜひ体験してみたい。
この気になる「HUMU」は、きびだんご株式会社によるクラウドファンディングが成立し、いよいよ市販が開始される。値段はくしくも39年前のウォークマン1号機に限りなく近い3万3800円。学生時代と違って今なら手が届くのもうれしい限りだ。
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