「スピーカークッション」という意外な新発明 包み込まれるような優しい音響と音の広がり

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――開発するにあたり、目指したポイントは?

体に心地よいとされる振動と音楽を同期して、融合するような体験を提供することを目指しました。妻からは「マットレスのような形で心地よい振動と音楽が同時に楽しめるようなものが欲しい」と言われ、最初はハンモックのようなものをイメージしていたのです。

なので出来上がったプロトタイプはとても大きなものでしたが、研究を重ねる中でより小さな形でも同じことが実現できるとわかり、最終的にクッションの形になったのです。直接肌に触れる製品なので、柔らかな手触りや、振動をベースにした触覚フィードバックにはこだわりましたね。

また外から見たときに電子デバイスであることがわからないように、すべての端子やランプをカバーで隠すなどといった細かなユーザーインタフェースにも気を使いました。

――開発においてどのような点に苦労したのでしょうか。

通常は、フォームで振動板を包むと音を吸収してしまい、音が小さくなったりきちんと伝わらなかったりしがちですが、素材を変えて何度も手作りでプロトタイプを作り直し、それを自分たちで聴きながら、さらにマイクや振動センサーで細かく測定する地道な作業を繰り返す中で、最終的にはフォーム自体が振動板の振動をきちんと伝え、クッション全体が共鳴し振動する今のバランスを実現することができました。

そしてクッションの素材については手で触ったときの質感、見た目なども含めて相当こだわりましたね。アルカンターラ(エクセーヌ)といった高級素材からスタートして、肌に優しいソフトな手触りでありながら、耐久性や洗濯可能であるといった使いやすさ、そして価格が高くなりすぎないバランスをすべて満足させる現在のマテリアル(マイクロファイバー製のスエード調人工皮革)にたどり着いたのです。このマテリアルについてはとても満足しています。

大音量で耳に負担をかけることもない

――これまでの製品との根本的な違いとはどこにあるのでしょう?

これまでのスピーカーは空気の振動を耳に伝え、人々が音を感じるというものですが、この「HUMU」は、耳で音楽を聴きながら、振動板を通じてクッション全体を楽器のように共鳴させることによって体全体で音楽を感じることができるのです。そのため大音量で耳に負担をかけることもありません。

体全体で音楽を感じることができる(写真:Flexound本社)
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