カンボジアの「独裁」はどれほどひどいのか NGO、専門家、メディア当事者が証言
民主主義や人権が危機にさらされているカンボジア
最大野党が解党させられたり、政府に批判的な報道を行ってきた主要新聞やラジオ局が閉鎖に追い込まれたりと、民主主義や基本的人権が危機にさらされているカンボジア。この状況の中、欧州連合(EU)は2018年7月に行われるカンボジアでの総選挙への資金援助を停止することを発表しました。しかし、日本政府は投票箱等の供与のため8億円の支援をすることを表明しました。この支援金は、日本国民の税金で賄われています。
「GARDEN Journalism」でも、カンボジアを拠点に発信を続けるフォトジャーナリストの高橋智史さんへのインタビューから強権化が進むカンボジアの現状を伝えると同時に、シンポジウムも開催してきました。公正で民主的な選挙を行うことができるのか非常に不安な状況の中での日本の支援に、疑問の声も出ています。
2018年2月23日、衆議院予算委員会第三分科会において、希望の党・源馬謙太郎議員が河野太郎外務大臣への質疑を行いました。内容は、「民主化と逆行するカンボジアへの支援のあり方」。答弁の一部を紹介します。
希望の党・源馬謙太郎議員:国民の意思が反映される選挙ができるかわからない中で、新たな投票箱を国民の税金を使って8億円も支援するのはおかしいのでは? 8億円の中身、積算の根拠について聞きたい。
河野太郎外務大臣:8億円の無償協力の内容は、日本製の投票箱等の選挙用物品を供与するということ。1998年のカンボジアの国政選挙で1万2000個の投票箱を供与した。それから20年経って、1万カ所投票所2万2000に増えた。質の高い投票の秘密が守れる形の投票箱が不足すると選挙の実施に支障が出ると思い、支援を表明した。国民の意思が反映するようなきちんとした選挙を行ってもらう必要がある。
希望の党・源馬謙太郎議員:米国政府は重大な懸念を求めている、欧州諸国も支援しないと聞いている。アメリカ側はカンボジア政府が政治的反対勢力を弾圧するようなことに加担する個人のアメリカへの入国を禁止しているというが、日本はどういう表明をするのか?
河野太郎外務大臣:手放しではない。懸念を持って見ている。日本の場合はASEAN各国との距離感が欧米とは違う。ミャンマーでもアプローチが違う。傍観をしているわけではない。時期をみて意思決定必要。状況を見ながらカンボジア政府の対応を見極めていく。