40歳「廃道」に鉱脈を見出した男の快活な人生 「嫌」を極力排除し自分だけの道を突き進む

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『廃道探索 山さ行がねが』(筆者撮影)

2018年現在、サイトのアクセス数は1日9000~1万程度。2012年頃から安定しており、基本的な生活費はアフィリエイト収入だけで賄えている。同人誌はすでにやめており、イベントも収支的にはプラスマイナスゼロなので計算に入らないが、書籍やDVDの監修・執筆のギャランティは大きな支えだ。撮影機材やGPSを新調したり中古車を購入したりするのは、そうした臨時収入がなければ難しかった。決して裕福ではないというが、完全に廃道だけで食べている状況になっている。そしてそれが10年弱続いている。

好きなことだけやってきました

平沼さんは語る。

「まじめさとか真剣さとかとは真逆な位置で、嫌なことから逃げて好きなことだけやってきました。今食べていけているのも、本当に運がいいというか恵まれているんだと思います」

それが謙遜でないところに生き方の極意がある。

平沼さんは、自分を「甘えていて、嫌なことに立ち向かえない人間」だとわかっているという。権威を伴う人間関係や仕事へのプレッシャー、不安やストレスなどなど……。そうした嫌なことを避けて生きていけるように、意識的に自らを導いているところがある。

人間関係が嫌だから学校を辞めたし、会社組織に属さない生き方を選んだ。同人誌も「おカネを払って読んでくれるプレッシャーと、一生懸命書いても最大500人にしか読んでもらえないこと」と折り合いが付けられなくなってやめた。将来への不安は「あったはず」だが、スロットで思うように勝てなくなってきた頃も押し潰されるような怖さは感じなかったという。それは自らが認めるように根が楽観主義者ということもあるだろうけれど、生き方が変化することが「嫌」ではないのが大きいように感じる。

「変化して当然ですし、変化に対して声を上げて食い止めるような気力もないですしね。そういうアンテナも張っていませんし。だから、たとえばアフィリエイトの仕組みが終了したらすごく悩むと思うんですけど、そのときはそのときで別の稼ぎ方を考えると思います。また同人誌をやるかもしれないし、別の方法かもしれない。今は私のサイトを好きだと言ってくださる読者がたくさんいてくれるので、そんな仲間と知恵を出し合って維持するように頑張ると思います」

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