バズるCM連発「Mr.カップヌードル」の素顔 「毎日がエイプリルフール」でネタを大量生産

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藤野がカップヌードルを担当してから最初にしたという変わった企画に、「カップヌードル パスタスタイル」というのがある。湯切りをして食べるカップヌードルだ。お湯を入れて3分で出来上がるラーメンというのがカップヌードルの基本のはずだが、あえてそこから外れた提案をしてみせたのだ。

「ずっと定番品を売っていれば業績はしばらく安定するでしょう。でも、それだと飽きられてブランドがどんどん衰退します。カップヌードルは、100年続くブランドにしたい」

パスタで製品化することに関して「そもそもどこまでがカップヌードルなのか」というブランドの根幹に関わる問題は社内でも議論になった。だが「麺がカップに収まっていればそれはもうカップヌードルでいいだろうと。考え方の範囲をそこまで広げていかないといけない」とあっさりと笑う。

「攻めた」広告は一歩間違えば炎上も

当然、社内だけでなく変わった企画をすれば一部に反発する消費者もいる。どこまでは許されてどこからがダメなのか。つねに葛藤はあるが、「人が不快にならないのは大前提。でも、若干のマイナスがないような企画は世間に見向きもされずに流れていってしまう」と割り切っているようだ。

今年で48歳の藤野。自身が若者に刺さる企画を考えるときは、「とにかく自分に情報を取り入れること」が大事だと言う。

「若い人たちが何を面白いと思っているのか、わからなくなってくるというのは正直怖い。意外なものが異常に受けたりする。だからはやっているものはとにかく何でもやってみて、一緒の面白さは感じられないとしても理解はしておきたい」

「一年中がエイプリルフールのよう」と話す藤野氏(写真:尾形文繁)

年に20を超える製品開発やSNSでのプロモーション、販売しているグッズなどを含めれば1年に出る企画の数は膨大になる。企画を考えることを藤野は「おもしろネタの千本ノック」と表現する。

多くの「ネタ」を出していくことで、当たる企画と外れる企画の傾向がわかってくるという。「ネタを考えるのに詰まってくることもありますが、それでも出し続けます。一年中がエイプリルフールのようですね」と話す藤野は楽しそうだ。

ブランドのプロモーションは、現在の方向性にさらに磨きをかけていきたいと語る。今後も、カップヌードルの「ネタ」から目が離せなさそうだ。

石阪 友貴 東洋経済 記者

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いしざか ともき / Tomoki Ishizaka

早稲田大学政治経済学部卒。2017年に東洋経済新報社入社。食品・飲料業界を担当しジャパニーズウイスキー、加熱式たばこなどを取材。2019年から製薬業界をカバーし「コロナ医療」「製薬大リストラ」「医療テックベンチャー」などの特集を担当。現在は半導体業界を取材中。バイクとボートレース 、深夜ラジオが好き。

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