ひと頃、虚礼廃止という言葉が流行りましたが、私の思いにぴったりでうれしかったのを覚えています。いい面もありますが、盆暮れと決められることで忙しい身には、時間も神経も使う大変な仕事でした。贈りたい人に、贈りたい物を、贈りたいときに贈るほうが心を伝えられます。同時に贈られたほうが、負担に感ずる贈り方や贈り物はアウトであることも、実感してきました。
あなたやご両親の、贈り物などに心を託し、またお付き合いを大切にしていきたいという純粋な心を、私は一点も疑いません。しかしそれらをもってしても、相手の財布事情などを超えるものではありません。
ただ贈答があれば付き合いがいいというものではありません。相手が負担を感じたり迷惑に思う贈り方は控えるべきなのです。お礼の言葉がない贈り物はやめるべきです。迷惑だと明白にメッセージを送ってきているのです。
私のある貧しい友人は、結婚した娘の裕福な姑から、素敵なタイミングで贈り物がくるのをとても楽しみにしています。最初は負担に感じたそうですが、そのさりげない口実が絶妙で、こちらからは「ありがとう」とお礼を伝えるだけで喜ばれる楽しい仲だそうです。こんなお付き合いもありますよ。
流儀を押し付けず、結果を急がず
人間関係は最初が肝心だと言いますが、最初はまずいスタートでも、時間をかけてゆっくり育まれる絆もあります。礼儀を言葉で教育するにも時があり、模範を示して受け入れられるにも時があります。今はその時ではありません。
私の友人は4人の息子を持ち、4人の息子のお嫁さんの実家との付き合いがあります。すべての形式を踏んだ結婚もありますが、友人中心のパーティ婚で、親も客として出席しただけの息子さんのお嫁さんと、その親戚付き合いが、相性も合ったのかもしれませんが、一番親しく往来する仲だといいます。急がないほうがいいです。
愛子さんはそのご実家の価値観しか知らず、あなた方と親しくする方法も必要も、そうすることで得られる喜びも今は知らない人です。そんな人に、いきなりあなたたちの流儀を覚えてもらおうとしても、摩擦が起きるだけです。
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