大統領の決断は正しかったのか?
娘が中学生のとき、「Social Studies」(社会科)の授業で使っていた教科書は「The American Nation」(Prentice Hall / Pearson)である。アメリカの教科書はみな分厚く、日本の教科書に比べたら3〜4倍のボリュームがある。この教科書も1000ページぐらいあった。しかも、教科書は生徒に配布されるのではなく貸し出されるので、使い終わったら返さなくてはならない。
そこで、私は、現代史の部分をコピーして読んだ。私が驚いたのは、たとえば、次のような原爆投下の記述である。
まず、原爆投下までの経緯が書かれている。これは要約すると、ナチスドイツが降伏した後、アメリカ軍のリーダーたちは秋には日本に侵攻するという計画を立てていた。そのときは、軍には15万人から25万人の犠牲が出るだろうという。そして次に、以下のようなポツダム宣言の記述が始まる。
こうして、原爆投下になる。
広島の廃墟と化した写真も掲載され、ここまでは事実をそのまま記述している。しかし、その後のレビュー欄に、「トルーマン大統領は、どういう理由で原子爆弾を使うことを決めたと思いますか?」という質問があって、それに私は驚いた。
それまで私が知っていたのは、アメリカでは「原爆投下は犠牲者を少なくするため」とされていて、その正当性は問題になっていないということだった。しかし、この教科書では、この点をわざわざ生徒に問うている。しかも、さらに続けて、次のような質問をしている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら