日本人はどうやって日本人になるのだろうか? そんな誰もが意識したことがないことを、グローバル化という視点でとらえていくとどうなるだろうか? 21世紀のグローバル化が私たちに突きつけている問題は、国際標準語(英語)を話す国際人になることではない。日本人という確固たるアイデンティティを持って、世界を舞台に活躍できる人材になることだ。
しかし残念ながら、日本で日本人の両親から生まれ、日本の教育を受けて育つと、真の日本人にならない。一人娘をアメリカと中国の教育で育てたジャーナリストが、その経験を基に、日本人とは何かを問いかける。
MOOC革命とは何か?
将来、あなたが卒業した大学がなくってしまう。また、あなたの子供が進学を目指す大学が今と同じようにあるとは限らない。そんな衝撃的な未来が迫っているとしたら、あなたはどうするだろうか?
これは決して絵空事ではない。かなり確実な未来である。まだ日本では気がついている人は少ないが、アメリカでは「今後50年以内に、現在4500校ある大学の半数がなくなるだろう」と予想する記事も出ている。
いったい何が起きているのだろうか?
実は今回は、ここまで2回にわたって述べてきた日本の英語教育の話をやめて、この連載本来の「日本人のアイデンティティ」についての話をしようと思っていた。ところが、娘さんをアメリカのリベラルアーツ・カレッジに行かせているある方から、「もっとMOOCについて書いてほしい」というメールが届いた。
それで、その方が書かれているブログを拝見すると、次のようなことが書かれていた。
私なりに、アメリカの大学の近未来を予測してみます。
・当初は、超一流大学のブランドが市場を寡占
・教育(授業)の産業革命が始まる
・授業が流通する、教授/教育方法の選択/淘汰が進む
・個人の台頭(スーザン・ボイルみたいな教授)
・教育のコモディティー化が進む(iTune Uみたいな)
・教育の国境/格差がなくなる(母国語に固守しなければ)
・MOOCは教育機関ではなく、コンテンツとして進化する(ドロップアウトレートが90%)
・生き残る大学は、少数精鋭Residential 教育と専門研究の場だけ
少数精鋭のLiberal Art 教育(教員数:学生数=1:10ぐらい)
寮生活を通じてのResidential 教育
専門研究を通じての教育
今のままでは、日本において、
・英語母国語化なしには、教育のガラパゴス化が進む。
・教育の産業革命に取り残される
・国力は?
このメモ書きを読んだだけでは、一般の方は何のことだかわからないだろう。
何より、こうした「教育革命」をもたらす「MOOC」が何か、一部の人間しか知らない。そこで、まず、MOOCから説明したい。この連載の第3回でも触れたが、「MOOC」(モーク)とは、「Massive Open Online Course」の略で、ネットを使った「大規模公開オンライン授業」のことである。「MOOCs」と複数扱いで表記することもある。
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