セバスチャン・スランと聞いても、それが何者か、すぐにわかる人は少ないだろう。だが、これからのコンピュータ時代の中核を担っていく世界の何十万人もの若者にとって、この名前は彼らの未来と同義だと言っても過言ではない。
スランは、オンライン教育サイトの「ウダシティー(Udacity)」の共同創設者だ。ウダシティーは、インターネット上で人工知能入門、ロボット自動車のプログラミング、起業入門などの授業を提供している。もちろん無料で、だ。
ただ、セバスチャン・スランの肩書はそれだけではない。元スタンフォード大学機械エンジニアリング、およびコンピュータ・サイエンス学部教授、同時にグーグルの副社長で、未来的な研究開発を進めるグーグルXの担当だ。
いや、肩書よりも、彼が何をやったかのほうがもっとすごい。スタンフォード大学では、人間のドライバーなしに走る自動走行車を開発して、2005年にDARPA(米国防省高等研究計画局)が主催したコンテストで、砂漠や山道を最速で走り抜いて1等を受賞した。グーグルの有名な自動走行車も、スランが数人の研究者を集めて開発した車だ。
また、スリムなデザインでギーク(テクノロジーおたく)たちの間で人気のグーグルグラスも、スランの手によるものである。グーグルグラスは、眼鏡のように身につけるコンピュータで、音声で入力が可能、そしてユーザーが必要とすることを予測して、さまざまな情報を小さなスクリーンの中に表示してくれるものだ。
紛争地域の少年や、母子家庭の母親たちまで
この多彩な才能を発揮するスランは今、ウダシティーに自分の能力と時間を集中させている。ウダシティーの授業には、それぞれすでに数万人から数十万人もの生徒がいて、世界の先端の知識を学ぼうと懸命にインターネットにアクセスしているのだという。
その中には、アフガニスタンで戦火を逃れながら、1時間のアクセスの間にウダシティーの宿題を済ませようと必死になっていた少年や、何とか新しい知識をマスターして、自分の資格を上げようと食らいついてきた母子家庭の母親たちもいたという。
現在、インターネットで世界の多くの人々に開かれているオンライン教育サイトを、総称してMOOC(Massive Open Online Course)と呼ぶのだが、ウダシティーはその中でも科学やテクノロジーの先端分野に関する授業を開講していることが特徴だ。
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